「死霊館のシスター 呪いの秘密」-The Nun2(2023)考察&レビュー:悪魔ヴァラクと再び対決!

『死霊館 エンフィールド事件』に登場した悪魔のシスターのルーツに迫るシスターシリーズは「死霊館ユニバース」の原点になる内容だから必見。前回登場したタイッサ・ファーミガが再びアイリーンを演じ、ジョナ・ブロケもモーリス役で再び登場し活躍します。アイリーンによって倒されたと思われた悪魔ヴァラクでしたが、前作では不穏なエンディングを迎えていましたね。本作はその4年後を描いています。
前作『死霊館のシスター』のレビューはこちら。
「死霊館のシスター」について
主人公の見習いシスターを演じているのは、前作に続きドラマ「アメリカン・ホラー・ストーリー」でおなじみのタイッサ・ファーミガ。
監督は、『ラ・ヨローナ~泣く女~』、『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』のマイケル・チャベス。いずれのタイトルも死霊館ユニバースに関係する作品ですね。
そんなマイケル・チャベス監督のインタビュー動画があったのでご紹介します。(英語バージョン)
インタビューで監督は、ニューススタンドのシーンに力を入れたと発言してますが、徐々に数多くの雑誌がパラパラめくれていき、最終的に恐ろしい姿になるあのシーンは監督が温めていたアイデアのようで、確かに強く印象的でした。ページ何枚あるねん、と途中でサイレントツッコミしたものです。
映画館でホラー映画を初体験
ホラー映画大好きでありあがら、専ら在宅シネマ―な私にとって、なんと本作は映画館で見る初めてのホラー映画となりました👏
ですので、単なる作品レビューというよりは「映画館でホラーを観た感想」のほうが圧倒的に印象強くなってしまいました。
映画館でホラー映画…
いいですね!(今さら)
いや、自宅でもプロジェクター×サウンドシステムで出来るだけ映画を映画っぽく観るようにしてるんですが、やっぱりレベルが違います(当たり前)。
映画館だとめっちゃ恐いですねww
なので、すごく面白かったですᕕ(´ ω` )ᕗ
「死霊館のシスター2」は、前作に続き、タイッサ・ファーミガが主演。悪魔の逆さ十字を首に示したフレンチ―も引き続き登場。ですので、前作をご覧になってからのほうが良きかと思います。
本作は言わずもがな「死霊館ユニバース」の一つですが、全作品の時間軸でいうと最も古い時代を描いているのが、「死霊館のシスター」です。死霊館の生みの親、ジェームズ・ワン先生は製作で携わっていたようです。
「死霊館 エンフィールド事件」で、ロレイン・ウォーレンに倒された悪魔ヴァラクが堪能できるシリーズとなってます。
前作で謎だったこと…。
かつてはバチカン総出で封印されたほどの悪魔ヴァラクを、なぜ見習いシスターのアイリーンが倒せてしまえたのか?バチカンは何を知っていたのだろうか?って私の中の謎が今回でスッキリしました。
それにしても、映画館でホラー映画を観るのちょっとハマりそう。なかなか行けないのでまずは自宅シネマ環境をアプデするために明日からも頑張って働きたいと思います。
恐いというかビビる映画
ホラー映画ということで、とりあえず怖いのかどうなのかという視点でレビューすると、この映画は私の場合、怖いというより「ビビる」映画でした。
怖さとは、正体不明の何かを畏怖する感情だと個人的に思ってるので、今回は悪魔ヴァラクの仕業であることは冒頭から明白なわけで、恐怖演出としては背筋がゾクゾクするようなものではなく、ハッキリしてる敵に対峙する緊張感のほうが強調された気がします。
とくに、映画館で観たということもあって、黒いヤギが登場するシーンでは蹄の音が体に振動して本当に怖かったです。
出演俳優&キャラクターについて
今回最も活躍した1人である少女ソフィー。
その母親ケイトを演じていたのがアナ・ポップルウェル。そう、私の大好きな『ナルニア国物語』のお姉ちゃんですー!あの頃は思春期の少女、そして今や立派な母親役を演じるまでに成長したんですね…。
さらに、今回アイリーンと共に活躍したのがシスターデブラです。彼女は、信仰に疑念を持つ型にハマらないちょっと反抗的な態度を持つシスターであり、アイリーンの出張にもまんまと好奇心いっぱいに付いてくることになりました。
しかし、結果的に彼女の存在は多くの子どもたちを救うとともに、悪魔と対峙するアイリーンを支えました。信仰心に懐疑的だったデブラでしたが、恐ろしい奇怪な出来事を体験し、信じようとする気持ちが大切であることを学んだのです。
信仰を持つことは、しばしば他者に何かを期待する、または依存する、あるいは思考を他人にゆだねるようなネガティブな側面として語られることがありますが、「信じる者は救われる」という言葉通り、特定の信念に基づいて同じ言葉(または思想?)で語りかける効果が実際に存在することは十分に考えられます。
小説『魍魎の匣』で京極堂が言葉によって宗教家の信仰をいったん解体し、再構築して組立なおしたら不思議なことなど何もなくなったように、ワインもまた信じることでキリストの血になりえるのだと思いました。
脚本家アケラ・クーパーについて
アケラ・クーパーといえば、現在ホラー界で最もエキサイティングな脚本家といわれています。
アケラ・クーパーは、アメリカの脚本家兼テレビプロデューサーです。彼女は、『ヘル・フェスト/アトラクション』(2018)、『マリグナント 狂暴な悪夢』(2021)、『M3GAN』(2022)、そして予定されている『M3GAN 2.0』(2025)などヒットしているホラー映画の脚本家として有名です。さらに、バラエティ誌の2021年注目の脚本家10人リストに選ばれました。
当ブログ激押しドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー』のシーズン6「体験談」のエピソード5も担当しています。
撮影地は廃墟の修道院
ドラキュラの故郷といわれるルーマニアのトランシルバニアにあるゴシックな古城で撮影された前作でしたが、今回はフランスのエクサン・プロバンスで2022年の10月から撮影が開始されました。
1956年を舞台にした物語の時間軸にふさわしい古い建物があることから、この場所が撮影地に選ばれました。さらに、登場した教会は1226年から1277年にかけて設立され、かつて実際に修道院として使用されていた廃墟なので、『死霊館のシスター』の撮影地としてはこれ以上ない環境といえます。
このローマ・カトリック修道院は、1836年から2015年までは様々なテナントが入居していたそうです。一時はジャクリーヌとパブロ・ピカソのための美術館にする案が検討されたりもしたそうですが、芸術家の家族と自治体との意見の相違により中止されました。現在、廃墟となった修道院は法務省の管理下にあるとのことです。
聖ルチアとは
今回の物語のキーとなった「聖ルチア」。
悪魔ヴァラクが、その目を探そうとしており、最終的にも重要な鍵を握っていました。映画の中では、両目が黒く塗り潰されたちょっと怖い絵画として登場もしていましたが、聖ルチアとは一体何者なんでしょうか…?
聖ルチアは、シラクサのルチアの名でも知られ、伝承によると283年~304年に実在したといわれるキリスト教の殉教者です。ルーテル教会・聖公会・カトリック教会・正教会で聖人として、目、及び視覚障害者、そしてシラクサの守護聖人として多くの人から崇められており、ルーテル教会信徒が圧倒的に多いスウェーデン、フィンランド、デンマーク、ノルウェーで崇敬される数少ない聖人の1人とのことです。
また、彼女はナポリの船乗りたちの守護聖人でもあり、サンタ・ルチアという有名なナポリ民謡も作られており、街中には同名の港もあるそうです。

そういえば小学校で「サンタ・ルチア」って曲を習ったのを思い出しました。しかも今でもちょっと歌える。

で、そもそもルチアは母によって異教徒と結婚させられそうになったんですが、処女を守りキリストと結婚するためにそれを拒否。怒った異教徒(婚約者)が、ルチアを処刑しようとします。が、牛の一群に繋いでも動かすことができず、最終的に両目をえぐり出されたそうですが、彼女は目がなくても”見る”ことができたそうです。
映画でも登場したように、絵画や像で彼女がしばしば黄金の皿の上に自分の眼球を載せた姿で描かれる所以はこの伝承にあるんですね。
それにしても、結婚してくれないからって目をえぐるのはやりすぎですw
国境を越えた悪魔
4年前、ルーマニアでアイリーンによって倒されたと思われたヴァラクはうまいことモーリス(フレンチ―)に憑りつくことによって、ルーマニアからおフランスへ出発していたことが解りました。
ヴァラクが4年間おとなしくしていたのかは定かでありませんが、モーリスはヴァラクと体内シェアしながらも学校で使用人として働くなど社会人として生活はできていたようですね。
ただの見習いじゃなかった
前作『死霊館のシスター』で、なぜ見習いシスターの身であるアイリ―ンが、かつてはヴァチカン総出で封印したほどの強力な悪魔ヴァラクを倒すことができたのか??が最大の謎でした。
今回、アイリーンはヴァラクによって体を燃やされかけましたがそれを跳ねのけ、物語の中で語られた聖ルチアの伝承を体現してみせました。それにより、彼女が聖ルチアの血筋にあるという事実が描かれていました。さらに、聖ルチアの目玉を利用して再びヴァラクを倒す事に成功。
前作で、シスターにすらなってないレベルだったアイリーンを、バチカンが名指しで「ルーマニア出身だから土地勘のある君を選んだ」と指名。しかしアイリーン自身は「私そのへんよく知りません(出身じゃない、だったかな?)」と答えてるにも関わらず、「いや、バチカンの意思だからとりあえず来て」と、最終的には半ば強引に連れていかれてましたね。
その時点で、バチカンはアイリーンが持つ何か特別な力を承知しているんだろうとは思ってましたが、まさか聖ルチアの血を引くとは。よく知ってるなw
ロレインに続く聖ルチアの力?
で、映画の終わりにロレイン・ウォーレン(演・ベラ・ファーミガ)が登場することによって、聖ルチア→アイリーン→ロレインの流れもあり得るのでは?とちょっと勘ぐっている私です。
アイリーンを演じてるタイッサと、ロレインを演じるベラは実際の姉妹であることもちょっと気になるし…(深読みしすぎ?)
で、一緒に映画を観たうちの彼はけっきょく血筋かよ」って突っ込んでました。(年代的に、ドラゴンボール、ワンピース、幽遊白書…と主人公は結局実家が太い奴だけ的な一種の妬み。)
まだ終わらないヴァラクの呪い
前作のエンディングでも描写され、『死霊館(2013)』の劇中でも描かれていたように、モーリスは1970~71年頃に、マサチューセッツのウェスタン大学で行われたウォーレン夫妻の講義で悪魔に憑かれた人間の映像資料として登場しています。
その講義によると、モーリスはフランス系カナダ人の農夫であり、教育レベルは小学校3年生レベルでありながら、憑依されたことにより流暢なラテン語を話していると紹介されていました。
講義で使用された映像がいつ撮影されたのか劇中では不明のままですが、ウォーレン夫妻の年齢と関係性を考えると遅くとも1960年代以降であるはずですから、『死霊館のシスター2』から約10~20年後のモーリスの姿であると考えられます。
そして、残念なことにウォーレン夫妻のレポートによると、モーリスは悪魔に憑依されたまま悩みを抱え、人生に絶望していたそうです。そして、妻を殺そうとしましたが代わりに自分の頭を撃って死亡したとのことです。
かつて、アイリーンを助けるために勇敢に立ち向かった彼が、その後の人生をずっと悪魔に支配されていたと思うととてもやりきれません…。
そもそも、最終的にモーリスの中にいた悪魔はヴァラクだったのか…?不明な点も多い。

ちなみに、『死霊館』の映像内でモーリスを演じているのはクリストフ・ヴェイヨンという俳優さんだそうです。
まとめ
最後に、『死霊館のシスター2 呪いの秘密』は、とても怖いホラー映画であるとともに、かつて命を救ってくれた恩人を救う美しきシスターの友情の物語でもあり、子どもたちを守ろうとする強い女性たちの姿を描き、自分の中に巣くう内なる悪魔に対抗しながら自分を取り戻そうとするモーリスの姿など、人間味溢れるストーリーもたくさん見せてくれました。
このように、死霊館ユニバースの作品たちはいずれもホラー映画であると同時に興味深い人間ドラマも見せてくれるのが大きな魅力であり、人気の秘訣なのだと今回も感じた次第です。
「死霊館のシスター 呪いの秘密」概要
物語の舞台は1956年、フランスのタラスコンにある教会でノワレ神父が謎の放火を受け死亡したのを機に、不審な事件が続発する。シスター・アイリーンは、枢機卿からヨーロッパ中の変死事件を調査するよう依頼される。シスター・デブラもその旅に加わることに。アイリーンとデブラは、悪魔が聖ルチアにまつわる聖遺物を求めていることを知る。二人は寄宿学校へ行き、悪魔に取り憑かれたモーリスを見つけるが…。
予告トレーラー
スタッフ
- 監督:マイケル・チャベス
- 脚本:イアン・ゴールドバーグ、リチャード・ナイン、アケラ・クーパー
- 製作:ジェームズ・ワン
キャスト
- タイッサ・ファーミガ(主人公アイリーン)
- ストーム・リード(シスター・デブラ)
- アナ・ポップルウェル(ケイト・ソフィーの母親)
- ジョナ・ブロケ(モーリス・テリオー/フレンチー)
- ボニー・アーロンズ(ヴァラク)
- ケイトリン・ローズ・ダウニー(ソフィー) 他
『死霊館のシスター』続編はあるんでしょうか…??

「死霊館のシスター」のグッズ
死霊館シリーズやアナベル、死霊館のシスターなど「死霊館ユニバース」の関連作品の関係性や時系列についてまとめています。


当ブログはホラー好きな管理人がにわか研究員としてホラー映画やミステリー小説などをマイペースに掘り下げているブログです。
Twitterでは新着情報とかを発信中。
死霊館シリーズも配信中!

U-NEXTなら観たい作品が見つかる!
ドラマ、雑誌、コミック、アダルトまでコンテンツ数が圧倒的!
月額プラン2,189円(税込)が31日間無料