「ソウ6 -Saw VI」(2009)考察&レビュー:ジグソウの新たな過去、そして真の後継者とは?

メインデスゲームを通じてジョン・クレイマーの新たな過去が明かされる本作。また、彼の後継者として動いている人物が果たして本当に「真の後継者」なのか、別に存在するのかも気になるところ。また今回はアメリカの保険医療制度について切り込んでいる側面も評価されています。
「ソウ6」について
今回は、これまでソウシリーズ全作品の編集を担当してきたケヴィン・グルタートが新たにメガホンをとっています。脚本は「ソウ3」、「ソウ4」に続きマーカス・ダンスタン、パトリック・メルトンが担当しています。
本作はこれまでのソウシリーズと比べて前作「ソウ5」を更新して最も低い興行収入ではありましたが、制作予算が1100万円とかなり低いので経済的には成功したといえます。
また、本作では保険の支払い拒否を盛り込み、アメリカの医療制度に切り込んだ側面が評価されたそうです。
ソウ1~3をジグソウ生存初期3部作とするならば、ソウ4~6、そしてソウ ザ・ファイナルの4作はジグソウの後継者による1つの物語として分類することができます。ただし、物語は「ソウ」から連続性を持っているのでぜひ1から順に観ることをおすすめします(^^)/
死んだあともゲームの準備と被験者の選別をめっちゃやってたジョン、死ぬのがよっぽど無念だったんだと伝わってきますね…

やっと6まできました。
今回は、これまでソウシリーズ全作品の編集を手掛けてきたケヴィン・グルタートが初の長編監督に挑戦しています。なかなか賛否のある本作だったそうですが、私は嫌いじゃなかったですよ(^^)/
ジェームズワンとリーワネルが放った稀代のヒット「ソウ」に始まり、その後彼らは忙しくなってきたし、なんかもうソウ飽きたし(リーワネル談)みたいな中、ついに「ソウ4」でリー・ワネルが脚本担当を離れ、その後実質フランチャイズムービーとなっていたソウシリーズ。そのためか、とっ散らかった印象も否めないと評価されることもあったけれど、これまで全作品を編集してきたグルタートが監督を担当することによって、これまでのストーリーの時系列的な編集がうまくまとまりつつあると感じました(^^)/
もともとジグソウは、命を軽視する人を更生するのが目的で殺しは好きじゃないって方針だったのが、今ではかなり違ってきてて、アマンダにしろ後継者にしと、サックサク理由もなく殺していくもんだから、ジグソウもあの世で嘆いているのではないでしょうか。
僕のしたかったん、こんなんちゃうー!
みたいな。原点回帰に向かっていってる感じはありますね。
でも後継者選び、やっぱり間違ってるねジョン。
天才やけど人を見る目はない?( ̄▽ ̄;)
んで、ネタバレになるから本筋のほうはなかなか書きにくい。
ゲームのグロさはこれまでに比べてずっこけるかも。いや、そうでもないかな、ただR18指定になった「ソウ2」とかに比べると本作はR15指定に留まってます。なので、それを期待して観た人は絶対に不満を持つと思う!
でも!!!!そもそも「ソウ」はグロさを強調したいトーチャーポルノではないし、ソウの醍醐味は謎解きであって、サスペンススリラーの側面を楽しむのが正解だと思っている。
前作とか、とりあえずデスゲームいれとこ!くらい本筋と関係ないとこでゲーム展開されてたけど今回はちゃんと組み込まれててストーリーに一貫性があっておもしろかったです。
終盤は、後継者さんヤケクソもいいとこですねwwどんだけ殺すねん。歪んでいながらも自分の哲学と秩序に則ってゲームをしてたジョンとは全然ちがう、なんもない、ただの凶悪シリアルサイコキラー。
んで真犯人は誰なんだ!!って、このあとファイナルで分かることになるわけだけど、そこー!?みたいな、脚本の隙間をつないでつないでここまできてることはじゅうぶん評価に値する。映画最高(^^)/

今回のオープニングデスゲーム
毎回、オープニングゲームで誰か一人は死ぬのがパターン。今回は、悪徳金融業の二人の男女が自分の身体をより多く切り取ったほうが生き残れるという、なかなかハードルの高いルールのゲームに突如参加させられます。ゲーム始まって、普通なら「え?」って戸惑ってるうちに60秒過ぎて死んでしまいそうなところを、躊躇なくお腹を切りだすエディ。そして、同じく腕を切り出すシモーネ。どっちも腹がすわりすぎではw
最終的には、たっぷりあるお腹の肉をこれを機にダイエット感覚かよって感じで切り取ったエディよりも、片方の腕をあっさりと差し出したシモーネに軍配があがりました。そうそう、いざというときに女は大きな決断ができるものなのよ。
疑われるホフマン
前回ぺちゃんこにされたストラム捜査官の残った腕を利用して、後継者のホフマンはあちこちに彼の指紋をつけます。すべては彼のせいにするため。
しかし、指紋を調べると生体反応がなく、既にストラム捜査官は死亡しているとFBI捜査官のエリクソンは断定します。また、ストラム捜査官の部下だったペレスも、ストラムにはそういう猟奇的な行動をする動機が見つからないと、ホフマンの「ストラム真犯人説」に疑問を持ち始めていきます。
さらに、冒頭のオープニングで負けたエディから切り取られたパズルピースの傷跡を切り取った凶器と、セス・バクスター(「ソウ5」でホフマンの手により被害者となった人物)のそれが同じであり、かつこれまでのジグソウのそれとは異なることに気づきます。
そして、セス・バクスターの殺害現場に残されていたビデオテープを再検証。声を分析していくと、それは紛れもなくホフマン刑事の声!が、バレた瞬間にエリクソンもペレスも、全く関係のない音声分析の人まで殺されてしまいました。
今回のメインゲーム
ジョン・クレイマー(ジグソウ)の元妻ジルが受け取った、彼の遺した5つの封筒。本当はそれら以外にも入ってるものがあったけど、ここでは明かされず観客も騙される。
その封筒によって行われたゲームが今回のメイン。ジグソウの加入していた保険会社の重役ウィリアム・イーストンがメイン被験者で、彼の部下たちも参加者として捉えられています。彼らは、保険加入者が病気や死亡などしたときに支払う保険金について、それが妥当であるかどうか調査する部署で働いていますが、請求の3分の1を却下し、中には関係のない理由を無理やりこじつけて支払い拒否するなどしてました。
その結果、保険金が支払われず医療が受けられなくて亡くなる人が少なからずいたのです。まさに、ジグソウに選ばれちゃいそうな悪い人たちですね!(やりすぎではあるものの、エグい殺され方してもしかたない、と心理的な逃げ道があるのがソウの救いです…)
ジグソウの意思が実現してるゲーム
これまで「ソウ」から「ソウ5」までも、命を軽んじる人たちがジグソウのデスゲームに参加させられてきましたが、ジグソウのルールには、必ず「生存するチョイス」が設けられてきました。それに則って生存した人たちももちろんいます。
けど、これまではアマンダによって、ほんとなら生きて帰れたはずの人が殺されたりして、ジグソウの本来の主旨とは違う結果を迎えてましたよね。ただ、前回のゲームもそれでいえば、生き残ったのは1人だけ(本来なら5人全員が助かるはずチョイスがあった)とはいえ、外的要因がないことを考えるとジグソウのルールに則って行われてたといえますね(^^)/
今回も、アマンダのように暴走する外的要因はなく、純粋にルールに則って最後までゲームが進められました。ただ、最後のチョイスに関しては被験者ウィリアム・イーストンが、「僕のゲームではなかった」と絶望していたとおり、かつてウィリアム・イーストンによって保険請求を却下され亡くなった男の家族、タラとその息子によって彼の命のジャッジがくだされることに。
真犯人は…?
FBI捜査官も警察官もめた殺しにしまくったホフマン。このまま伝説シリアルキラー化するのかと思いきや、そこに現れたのは元妻ジル。
ホフマンを眠らせ、口がパコーンってなるトラップを仕掛けて、実は封筒は5枚ではなく6枚あったのだと打ちあけます。6枚目の封筒にはホフマンの写真が。そう、ホフマン自身もジグソウの犠牲者になることが初めから決まっていたのですね。本来ならここでゲームオーバーだったホフマン氏ですが、装置を鉄格子にひかっけて、なんとかパコーンを阻止。口周りが裂ける程度で済みました(にしては、かなり痛々しい姿でしたが)
では、ジルが最終的に真犯人ということになるのか…?
生き残ったホフマンはどうなるのか…?
まだまだ謎を残したまま「ソウ6」は幕を閉じるのでした。
まとめ
ソウシリーズを観るのは実は3周目なんですが、やっとここにきてソウの面白さを理解できた気がする。
逆に、今まで何を見てたん?ってくらいちゃんと観てなかったんやなって思った。単なるグロいデスゲームムービーだと思って考察もせず謎解きも気にせず、ただただ与えられた映像を受信するだけだったんだなあ、とすっごく思った。反省した!!!!
ソウは、回を重ねるごとに以前のエンディングが更新されていく。
あのときはそういう結果なんだと納得して終わらせていたのに、全く異なる方向からの視点を突き付けられてしまう。
映画を受動的に楽しむのもいいけど、もっと能動的にこのトリックに参加して楽しむのはどう?って、まるで制作者たちから誘われているようなワクワクした気持ちすら感じた。
で、ソウはとりあえず次の「ソウ ザ・ファイナル」でいったん完結し、その後およそ10年沈黙することになります。次回は、本作の続きであり、本当にこれらのゲームの全てをジグソウから託された人物が、はっきりとします。それはホフマンなのか、元妻ジルなのか、もしくは…?!
「ソウ6」概要
予告トレーラー
ジグソウの死後、凄惨なゲームが行われた事件現場でストラムの上司であったエリクソン捜査官が自ら検証を進めていた。状況証拠はストラムがジグソウの後継者と示しているがそれに疑問を抱き、担当刑事であるホフマンに本格的な共同捜査を申し出る。一方、アンブレラ保険会社の副社長ウィリアム・イーストンは突然拉致され、目を覚ますと体を拘束されていた。またしても始まる新しいゲーム。このゲームを最前列で見ている者が、ジグソウの真の後継者なのか。その後継者は誰なのか。
スタッフ
メイン出演俳優

連続殺人犯とされる男。ついに命を落とし、元妻ジルにある遺言と遺品を残す。

ジグソウ事件の担当刑事にしてジグソウの協力者。

ジグソウ事件を終結させるべく捜査を続けるFBI捜査官。

ジョンの元妻。ジョンの死後、遺言と遺品を受け取る。
その他の出演俳優
- ピーター・アウターブリッジ ― ウィリアム・イーストン役(保険会社の重役。ゲーム参加者。)
- サマンサ・レモール ― パメラ・ジェンキンス役(ジャーナリスト。ウィリアムの妹。)
- キャロライン・ケーブ― デビー役(アンブレラ保険会社の法務責任者の女性。ゲーム参加者。)
- ジェリー・メンディシーノ― ハンク役(アンブレラ保険会社の用務員の老人男性。ゲーム参加者。)
- ジャネル・ハチソン ーアディ役(アンブレラ保険会社のウィリアムの秘書の中年女性。ゲーム参加者。)
- ショーナ・マクドナルドータラ・アボット役(ブレンドの母。ゲーム参加者。夫が病死している。)
- デヴォン・ボスティック ーブレンド・アボット役(タラの息子。ゲーム参加者。父が病死している。)ほか

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