「ソウ3 -SAW Ⅲ」(2006)考察&レビュー:これまでのゲームの裏側が明らかになり、ある意味で完結編
ジグソウことジョン・クレイマー、そしてアマンダ2人の関係性に焦点をあてより感情的に訴えている「ソウ3」。より彼らの背景や人間性が理解できます。そして、ゲームの残虐性はさらにアップ!痛い!気持ち悪い!の連続で画面から目をそらしてしまうの間違いなし。
「ソウ3」について
今回は、「ソウ」の生みの親であるジェームズ・ワンとリー・ワネルの原案を、リーが脚本家、そして監督は前作「ソウ2」に続きダーレン・リン・バウズマンが務めています。また、ワンとワネルはエグゼクティブ・プロデューサーとしても本作に参加。
本作の製作は、「ソウ2」の成功を受けすぐに始まり、撮影は2006年5月からトロントで行われ、話寝るによると、特にアマンダとジグソウを中心とした、前作より感情移入できる作品を目指したとのことです。
また、この映画は、2005年12月4日に亡くなったプロデューサーのグレッグ・ホフマンに捧げられているそうです。
ジグソウとアマンダの間にある奇妙な父子愛のような関係にスポットがあたっていました。
予定されていた当初のストーリー
当初、「ソウ」は3部作の予定であり、1作目の主人公であるローレンス・ゴードン博士が、当初は再び主人公として戻ってきて、ジグソウに妻を救うために別のゲームをさせられ、ジグソウとアマンダを殺してシリーズを終わらせるクライマックスとなる予定だったそうです。
しかし、ゴードン先生は復帰せず、息子をなくし復讐に囚われる父親ジェフ・デンロンの役柄となりました。ゴードンはその後『ソウ ザ・ファイナル』(2010年)でシリーズに復帰しますが、全く違うストーリーとなっています。
盗まれた台本
本作のエンディングは、そのシーンの出演者だけに与えられていたそうです。一時はブスマンの椅子から台本が盗まれたことがあったそうですが、ネットに流出する前に返却され事なきを得たそうです。
いつも冒頭シーンが印象的なソウですが、今回はなかなかグロい始まりでしたね。ソウシリーズは、その残虐的な描写からそればかりが目立ってしまいますが、実はこれらのシリーズで一番おもしろいのは、謎解きの部分なんですよね
「ソウ」にしても「ソウ2」にしても、用意された伏線が最後のシーンでジェットコースターのように回収されていくのは見事で、それがめっちゃ気持ちよかった。そして、今回もなんとなく予感はあるものの「なるほど!」という暇もなく謎が解き明かされていく展開が待っていました。
息子を事故で亡くし、復讐と悲しみに囚われる父親に課されたゲームが進行しながら、平行してジョンとアマンダの関係性が描かれていきます。突如連れてこられたリー医師の存在により、アマンダはその未熟な精神性から彼女に敵対心を持ち、何か嫌なことが起こりそうな不穏な空気が張り詰めます。
アマンダのジョンに対する感情は、父親に対するような愛情なのか、または崇拝のようにもとれる。いずれにしても彼の愛情や関心を独り占めしたい、という未熟な彼女は、ジョンの後継者として相応しくないのは誰もが感じたところなのでは。ジョンいわく、彼女と自分には似たところがあるとか、唯一理解できる相手みたいなこと言ってたけど、本当にそうなのかな…
ジョン、めっちゃ賢いけど人を見る目はビミョーなのでは…と思ってしまった(^^)/ もともとジャンキーやしね、アマンダ。
かたや、ジェフのほうは与えられた試練「息子の死に関わった人たちを赦せるかゲーム」の中で、復讐したい気持ちと良心の間でせめぎ合いながらも、否応なしに進行を余儀なくされていきます。
事故関係者に与えられた装置、どれもエグみがすごかったけど、判事の装置、臭いにおいがこっちまで伝わってくる腐った豚がキツすぎた笑)どれも嫌だけどこの処刑もほんまに無理すぎる…ホステル2か3で虫(G)まみれにされる女の子のシーンがあって泣きそうになったけどいい勝負。いや、でもやっぱり虫のほうが嫌かも笑(思い出しただけでうおおおおおってなる)
しかも、それを救出するための鍵を手に入れるために亡くした息子との思い出を燃やさないといけないという。いつまでも過去に囚われてたらあかんよっていうジョンの思惑なんでしょうが、容赦ないw ホラー映画って多くが「悪いことしたら報いがあるよ」とか少なからずそうした教訓みたいなものがあったりしますよね。
でも人間ってそんな綺麗事ばっかじゃなくて、誰でも少なからず人に言えない過去や後ろめたい思い出の1つや2つあるものだったりする。しかしそれを許さないのがホラー映画。
だとするなら、現実で芸能人や政治家に清廉潔白を求めて、ちょっとしたスキャンダルで人殺しのように祭り上げる世の中の風潮も、ある意味でジョン・クレイマーと同じような気もしませんか。
それにしても、最後の運転手のはとくにキツかった…画面直視がかなり厳しいえぐさでしたね…「痛たたたー!」って声もめっちゃでてしまった(^_^;)
毎回ファンからはそこも期待されてるからエグみが増すのは当然なんでしょうが。
個人的にはソウ1〜3がジョン・クレイマーによる「ソウシリーズ」としていったん完結してると感じます。もしジョンが後継者にアマンダを選んでいなかったら、物語はどうなっていたのかな〜(^^)/
ジグソウは殺しが嫌い?
1作目のレビューにもかいたとおり、なぜゼップとアダムは死ななければならなかったのかが私には分かるようでいまいち分からなかった。けど、「ソウ3」の中盤以降で、これまでのゲームがどのようにして行われてきたのか舞台裏が明らかになっていきました。
アマンダとジョンは、1作目の以前から出会っていて、アダムを連れてきたのもあのシチュエーションの準備を手伝っていたのも彼女だということが明らかに。ジョンの用意してきたゲームには、難しいながらも必ず生き残れる選択肢が用意されていたにも関わらず、彼らはいずれも死ぬか行方不明に。そのいずれかは、アマンダがジョンのルールを無視して彼らを死に追いやっていたことが判明します。
1作目のアダムは扉が閉められた後、足かせを外す鍵を浴槽で流してしまったため脱出こそできなかったものの生き残っており、ゴードン先生のように足を切ってしまえば生き延びれた可能性があります。しかし、彼はそれができず、そこにアマンダがやってきてアダムを窒息死させました。
また、「ソウ2」で逃げ延びたエリック刑事は、負傷しながらもなんとか逃げ出そうとしていた中アマンダによって見殺しにされ、そのまま消息不明で死亡したことになっています。もともとアマンダはエリック刑事によって濡れ衣を着せられ逮捕された経緯があるので、復讐だったとアマンダは告白してますが、いずれもジョンのゲームのルールからは逸脱した行為。また、ジョンも彼女のそういう行動に絶望しながらも容認し、彼女を試していたと言ってます。
ジョン自身はリー医師に「私は殺しが大嫌いだ」と言ってるとおり、殺しのが目的ではなく、彼はあくまで「命の大切さに気づかせるためのゲーム」を行い、必ず逃げ道を用意していたわけだけど、アマンダを容認していた時点で自分の思ったようにゲームが進まないことには、そこまでこだわりがなかったんだろうか。(被害者かわいそ)
最後のシーンでは、アマンダのヤキモチが炸裂して、ジョンが信頼を寄せるリー医師を殺そうとします。「そんなにこの女が大事なの?!」とジョンに訴えるとジョンは「私ににではない、君にとって大事な存在なんだ」とヒントを出します。
ジョンの後継者ということになっているアマンダがこの明確なヒントにすら気づかずヤキモチ全開の姿は見ててかなりイライラしたw 当然、感情に任せた愚かな行動は最悪の結果を招くことになりました。むしろ、ジョンはこの危ういアマンダという人物に最後の選択を任せることでどちらに転ぶか分からないゲームを楽しんでいたのかな…
アマンダは最終的に冷静な判断ができないままリー医師を撃ち、そこにやってきたジェフによって撃たれてゲームオーバー。息子を亡くしゲームに参加させられていたジェフは、リー医師の夫であったことが判明。ここまで「過去に囚われてたらあかんでゲーム」をさんざんしてきたのに、最後に与えられた選択肢でジョンを殺してしまいます。
しかし、彼は知らなかった。ジョンが死ねば自動的に妻であるリー医師の首の爆弾が作動することを。残念ながら、リー医師は頭が吹っ飛んでしまいました。ジェフと娘の生死は不明のまま物語は終わります。
本作は、ジョン・クレイマーとアマンダという2人の人物に感情移入するような物語をねらって作られたとおり、2人の背景が濃く描かれていました(^^)/同時に2人が死亡してしまったことにより、今後ソウシリーズがどんな展開を見せるのか、楽しみ(不安)です。
「ソウ3」概要
果たして、アマンダは本当にジョンの後継者だったのか…?
その疑問は「ソウ4」以降で明らかになっていくわよ。
予告トレーラー
息子を交通事故で亡くしたジェフは、目覚めると食肉工場の地下室にいた。扉を開けると、鎖につながれた3人の男女。貯蔵庫には、息子を飲酒運転でひき殺した男。解体場には、犯人に軽罪しか与えなかった判事。冷凍室には、ひき逃げを目撃しながら証言しなかった女。・・俺は、息子を殺した人間たちを処刑するのか?一方、医者のリンは病院でのシフトを終えた直後誘拐され、連れて行かれた地下室で、死の瀬戸際のジグソウと会う―。
スタッフ
メイン出演俳優
その他の出演俳優
- ドニー・ウォルバーグ ― エリック・マシュー刑事役
- ディナ・メイヤー ― アリソン・ケリー刑事役
- リー・ワネル― アダム役
- リリク・ベント ーダニエル・リグ刑事
- J・ラローズ ートロイ
- エムポー・クワホー ーティモシー・ヤング
- バリー・フラットマン ーハルデン判事
- デブラ・リン・マッケイブ・ジョーンズ ーダニカ・スコット
- コスタス・マンディロア ーマーク・ホフマン刑事
- ベッツィ・ラッセル ージル・タック役 ほか
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