80年代SFホラー傑作「遊星からの物体X」-THE THING(1982)感想とレビュー:キモグロクリーチャーが最高!

こんにちは!aoringo(@horror_apt)です。
最近、SF好きな彼の影響で今まであまり見る機会のなかったSF映画やSFホラーにも興味がでてきたところです。
80年代SFホラー!CG技術のまだ少ないアナログで再現される数々のSFX技術によるキモグロ地球外生命体は必見!閉鎖空間において外圧による人間関係の脆弱性も描いてて奥深い。
本作『遊星からの物体X』は、ホラー系雑誌などで度々目にしていたのでずっと気になってたものの…正直SF映画にあんまり関心が湧かなくて見る機会がありませんでした。が、最近、スティーブン・スピルバーグの特別番組でSF映画特集がやっててめっちゃキモい(誉め言葉)映像が映し出され…
「これはなにごとじゃ!\(^o^)/」と調べたところ、本作だったわけです。
しかも、アマプラで見れるやないか!!と、すぐに映画鑑賞会が始まりました。
40年前の作品とは思えない
デジタル・リマスターされた映像がきれいだったことも大いに関係してるであろうものの、内容も不思議とまったく古さを感じないのが凄いと思いましたっ!!南極の閉鎖された環境が舞台なので、街の様子なども映し出されることがなかったのもあるかも(‘ω’)
余談ですが。
70年代、80年代といえば、現代まで語り継がれるホラー映画の傑作が次々に登場したホラー映画黄金期。今でいう、さまざまな”ホラー映画あるある”の元祖もこの時代に多く生み出されました。私はホラー映画好きを自称しているものの、まだまだ観てない作品は多くて今少しずつ消化していってるところであります。
そのたびに、今これだけ面白いと思える映画を、当時リアルタイムで鑑賞した人はどれほど驚き、楽しんだんだろう…と思うとめちゃくちゃうらやましくなります。
1982年といえば私は生まれたばかりなので当時観たところでポカーンなわけですが、学びとして「映画はできるだけ新鮮なうちに鑑賞することでのみ得られる楽しみ」があるのは間違いない、と思いました。
とにかくクリーチャーが最高~
謎の地球外生命体が、人間や動物の体に寄生して乗っ取り、はじめは変わらぬ姿で過ごすものの、攻撃態勢に入ると正体を現します。
まず始めに登場するのが、シベリアンハスキー。
何頭か眠ってる犬小屋にあとから1頭のハスキーが入ってきたかと思いきや、突然頭がパックリ花のように割れて広がります。あちこちから触手がニュルニュルと生えてきて、ハスキーはハスキーではなくなり、完全なる化け物が登場。CGなしにどうやって動かしてるん?!と目をまんまるくさせるしかありません。
アナログ製作の魅力
CGだけで作られたモンスターや怪物がなぜこうも怖くないのだろう、とずっと疑問でした。けど、アナログSFXで作られたモンスターは、良くも悪くもぎこちなく動くところがあったり、まるで作り物(作り物なんだけど)の質感が垣間見えたりするんですよね、でも、逆にそれがリアルでワクワクしてしまう。
最近のCGって本当にすごいキレイですよね。それが存分に活かされる場面は数えきれないのは確かなんですけど、それの違和感って例えばInstagramで美人でスタイルよすぎる女の子たちのそれと似てるんですよ。なんかうまくいえないですけど。
当時ハリウッドの最先端VFX&SFX技術を取り入れたジャパニーズホラー映画『スウィート・ホーム』のメイキング映像で見たことがあるんですけど、右手担当、左手担当、唇担当、みたいに細かく分かれて。ひとつのロボットを動かすのに数人がかりで各パーツを動かしていたりするんですよね!息を合わせるのも大変です。
南極キャンプというストレス環境
クリーチャーの面白さばっかり語ってますが、本作のおもしろいところはそれだけじゃありません。
本作は、地球外生命体が人に寄生してそっくりの姿になることが判明してから、人間同士の関係が猜疑心により崩壊していく様子も描いています。誰がニセモノなのかお互いに不信感を抱きながら、南国観測基地という閉ざされた空間のなかで人間関係の脆弱性があらわになっていく様子もハラハラドキドキです。
南極での生活の厳しさは、「南極料理人(2009年・邦画)」でも描かれていて、長引く極度の生活環境におかれた人間の心理の変化を絶妙にコミカルに描いているものの、南極での仕事の苛酷さが伝わってきました。こちらはホラーとは全く関係ないほっこり映画ですが。
1951年にも映画化されている
本作1982年版「遊星よりの物体X」とは、ジョン・W・キャンベルによる1938年の短編SF小説『影が行く』の映画化であり、1951年に製作された同タイトルの映画も、同じ小説を映画化したものなので、内容は一緒らしいです。
観てないので詳しくはわからないんですが。
ちなみに1951年バージョンの映像はこちら。
監督は『ハロウィン』のジョン・カーペンター
1948年生まれのジョン・カーペンターが、映画監督を目指した目指した理由がまさに1951年『遊星よりの物体X』に衝撃を受けたから、だそうです。
そんな監督にとって、この映画の製作は思い入れのあるものになったんでしょうね。監督の気迫、ちゃんと伝わってますよ(春日のここ、あいてますよ)
1978年には、ホラー映画の金字塔、ブギーマンでおなじみ『ハロウィン』を低予算で製作するやいなや大ヒット。その後、本作が公開されました。
メイキング映像
「遊星からの物体X」当時のスタッフインタビュー
公開からインタビュー当時で35年経った時点でも、ジョン・カーペンターの 『遊星からの物体』は、その驚くべき特殊効果で知られています。当時の撮影に関わったスタッフたちが、その効果がどのように実現したかを振り返るインタビュー。(全編英語)
立体造形物が作れる才能、いつ見てもほれぼれします…
わたしはフィギュアやドールも大好きで昔はけっこう集めてたんですが、360度どこから見ても絵になる作品ってめったにお目にかかれるものじゃなかったりするんですよね。SFX職人さんも、フィギュア造形師さんも、実在しないものを創造して具現化する才能があるプロたち、ほんとに敬服します(*’ω’*)
2011年公開の前日譚
『遊星からの物体X ファーストコンタクト』
2011年に、続編『遊星からの物体X ファーストコンタクト』が公開されています。こっちもまだ観てないから見なくては!!
見ました!おもしろかった!またレビューしたいと思います。
「遊星からの物体X」の概要
予告トレーラー
南極に飛来したエイリアンが蘇生し、次々と観測隊員たちに襲いかかっては、その身体を乗っ取っていく。隊員たち(カート・ラッセル、キース・デヴィッド、ウィルフォード・プリムリーほか)は、仲間の中にエイリアンがまぎれこんでいるかもしれないと疑心暗鬼になっていき、ついに血液検査が行われるが…。(Amazonレビューより)
スタッフ
- 監督:ジョン・カーペンター
- 脚本:ビル・ランカスター
- 製作:ピーター・サフラン、ジェームズ・ワン
- 原作:ジョン・W・キャンベル『影が行く』
キャスト
- カート・ラッセル(R・J・マクレディ)
- A・ウィルフォード・ブリムリー(ブレア)
- T・K・カーター (ノールス)
- デヴィッド・クレノン(パーマー)
- キース・デヴィッド(チャイルズ)
- リチャード・ダイサート(ドクター・コッパー)
- チャールズ・ハラハン(ヴァンス・ノリス)
- ピーター・マローニー(ジョージ・ベニングス)
- リチャード・メイサー(クラーク)
- ドナルド・モファット(ギャリー)
- ジョエル・ポリス(フュークス)
- トーマス・G・ウェイツ(ウィンドウズ) 他
この作品に関するトイ&グッズ
参考リンク
映画は心意気だと思うんです。 第3回 (冨田翔子)|boidマガジン