ホラー映画/ドラマ

考察&レビュー

AmazonPrime

「キャラクター」(2021)の感想とレビュー:漫画で描いた連続殺人が現実に起こってしまう…和製サイコサスペンス

アオリンゴ
記事内に商品プロモーションを含む場合があります
キャラクター

描いてはいけない、主人公だった

「キャラクター」(2021)の感想とレビュー:漫画で描いた連続殺人が現実に起こってしまう…和製サイコサスペンス
上映日:2021年06月11日 / 製作国:日本
ここがポイント!

セカオワ(SEKAI NO OWARI)のボーカル、Fukaseがスクリーンデビューした話題のサイコサスペンス映画で菅田将暉が主演。監督は『帝一の國』から菅田とは2度目のタッグとなる永井聡。俳優陣はとっても豪華な実力派が揃っててキャッチーな設定でありながらも映画として完成度が高いと思いました。

「キャラクター」

ネタバレなしの感想

ずっと見たかったキャラクター!
アマプラにて観賞。

Fukaseくんのサイコッぷりは話題通り、似合っててよかった!せっかくだから、もっと背景や過去を掘り下げてほしかったです。奇抜なサイコキャラなのに背景がめちゃめちゃ薄くて残念。といっても、今回は漫画家とそれを再現するキラーの関係性の顛末にスポットされてたので、まあ仕方ないのかなあ。それでも悔しいなぁと思ってしまう。スピンオフないかなあ…なんて期待。俳優としては初出演だけど、舞台慣れは言わずもがな、ですからそこはアーティスト、オン・ザ・ステージってなもんでしょうか。不気味でしたよねえ…車の中、駐車場、めちゃ怖かった…

菅田将暉くんの漫画家は文句なしに良かった。苦悩しながらも前向きな行動にも共感がもてたし、最後のシーンでは彼の隠された深層心理も垣間見えましたねえ。なかなか味わい深いシーンでした。そして、妻役を演じた高畑充希ちゃんの何気ない表情もわざとらしくなくて、さすが!って思った。すごい女優さんだなぁと改めて(^^)/脇役こそ実力派だとピリッと締まりますよね、ほんとに。話題性だけのビミョーなアイドルとかに頼る映画じゃなくてまじでよかったww

俳優陣はとっても豪華な実力派が揃っててキャッチーな設定でありながらも映画として完成度が高いと思いました。にしても、小栗旬くんの刑事役がよかった♡ほんと似合うよなぁ刑事役が〜。ミュージアム、クライシス…そして今回の清田刑事。どれも文句なしにかっこよくて優秀なのにちょっと隙があるのがミソです。ホラー&サスペンス好きとしては、各事件現場のガイシャの描写がなかなか具体的に丁寧で見応えありました。子供の遺体描写も容赦なく表現されてましたね…

邦画界を担う小栗旬と菅田将暉、この二人が並ぶだけで絵面が贅沢です。二人のかけあい、かけひきのシーンなんて、カレーとラーメン一緒に食べてるようなもんです。ちなみに小栗くんには監督から「かっこいい刑事を演じてほしい」と言われて本人いわく恥ずかしいくらいかっこつけて演じたそうです。いやいや、板についてシンプルにめちゃくちゃかっこよかったですよね、ほんま小栗旬めっちゃ好きやねんうちー(^^)/♡

後になんで小栗くんやねん…なんでシドーと違うねん…とブツブツ言う羽目になる。シドーさんごめんなさい…

「キャラクター」について

制作とプロット

映画「キャラクター」は、2021年6月に公開された日本のサイコサスペンス映画です。「売れない漫画家が殺人犯の目撃者となり、その殺人犯をモデルに漫画を執筆して売れたら」というアイデアを元に、登場人物(キャラクター)それぞれの人間模様を描いています。

原案・脚本は浦沢直樹の『MASTERキートン』や『20世紀少年』の共同原作者でもある長崎尚志氏。彼のアイデアを元に、企画の川村元気とプロデュース担当の村瀬健で10年以上前から構想を練った完全オリジナル作品だということです。(Wikipediaより)

作中の漫画を描いたのは誰?

売れない漫画家である山城は、ストーリーやキャラクターこそパッとしないものの、その画力には素晴らしいものがありました。そんな漫画の内容は映画の中でもよく登場していましたが、あの漫画はどなたが描いているでしょうか?

Wikiによると、山城の漫画を担当したのは江野スミさんという漫画家の方だそうです(^^)/代表作は『美少年ネス』『たびしカワラん!!』『亜獣譚』など。わたしは漫画文化には疎いもので、残念ながら存じてなかったのですが、どの作品も絵柄強くて色気が合ってめっちゃ気になる!

とくに「亜獣譚」という漫画は、「害獣病」と呼ばれる病気が蔓延する架空世界を舞台にし、「性」にまつわる様々なこと(性的嗜好や性愛、トラウマなど)を描いた作品だそうです。おもしろそうだ…

「キャラクター」を

ネタバレありの感想

注意※この先はネタバレ要素を含みます

山城圭吾の中の悪意

主人公の山城は、サスペンス漫画を描きたいと思い下積みを続けてきた人物です。画力はあるものの、編集者からは「キャラがぱっとしない」と原稿を突き返されます。また、アシスタント先の先生は彼のことを、「あいついい奴じゃん、だから悪人が描けない。サスペンス描きたいのにそれって致命的じゃん?」と評価されています。

そこで思います。本当に気が優しいいい人が、惨殺死体や凶悪な殺人鬼の登場するサスペンスをわざわざ描きたいと思うものなんだろうか…?と。創作欲求の根源には、何かしらの手段で具現化したいその人の欲求があるはず。一見、気が優しくて弱々しい山城という人物がサスペンスにこだわるその真意とは何なんだろう…、そして、この疑問は待っていたかのように終盤でその答えをたたみかけてくるのでした。

山城は、自分の描いた漫画がその通り実際の殺人事件として再現されていることについて危機感を覚え、大ヒットしているにも関わらず連載をやめようとしました。その行動には、じゅうぶんな道徳心と常識人としての行動がみてとれました。しかし終盤、両角に追い詰められた彼のその”ふつう”の価値観はほろほろと剥がれ落ち、内部に秘めていた攻撃的な側面が顔を出しています。

売れない地味な漫画アシスタントだった男は、殺害現場で犯人の顔を見たにも関わらず、それを証言しないことで表現の具現化に成功しました。これは、山城にとって”悪魔との契約”であったと感じます。その契約で得たものは、漫画家としての成功でした。そして契約の条件として差し出さねばならなかったのが、両角というサイコシリアルキラーの解放であり、山城は罪悪感と責任に押しつぶされていきます。

しかし、これらの山城の行動は非常に人間らしくて責めることができないと思いませんか?誰でも、無意識にふと訪れる悪魔の契約に心が揺れてしまうのではないでしょうか…。

両角はどこからきたのか

連続殺人を捜査する清田刑事は、2件目の殺人現場となった山道について、全国どこでもいいはずなのに、漫画の中の場面と実際の現場があまりにも酷似していることに気づきます。

そこで現場写真に写っていた「九条村」という看板を見つけ調べたところ、妙な情報を得ます。確認のため山城を訪れたところ、彼は過去に作品のヒントのためにと、まさに「九条村」にかつて存在していたカルト宗教について調査していたのです。漫画の殺害現場として描いた風景画は、その資料の写真を基にしていたのでした。両角は、地名があえて示唆されたわけでもない漫画の風景を見て、そこが九条村であると分かっていたことが判明します。

九条村のコミュニティ

九条村にはかつて、4人家族を幸せの1単位として考える宗教団体のコミュニティが存在していました。しかし、その集落内では荒仕事が多発しており、無理心中をはかるなど事件が起こって一時期メディアに取り上げられていました。コミュニティからは4歳から15歳まで23人の子供たちが保護され、ました。彼らは1~2年にわたってコミュニティのルールにのっとった生活をしていたため、お風呂の入り方も知らない、手の拭き方が分からなかったりもしました。そして、その多くが出生届が出ていない無戸籍児だったのです。この辺りに土地勘があると思われる両角は、このコミュニティの出身者ではないか、と清田刑事と山城は考えるのでした。両角は、幸せの象徴である4人家族だけをターゲットにしており、家族全員を殺害しています。関連性があるのは明白ですよね。

後に、両角は裁判で、名前、生年月日、本籍などについて聞かれますがいずれも答えることができませんでした。また、裁判では彼が前述のコミュニティ出身者であることが明言されており、出生届のない無戸籍児であった両角は、他人から買い取った戸籍を利用して、他人に成りすまして生活をしていたそうです。

辺見と両角の共鳴

清田刑事を刺した(わたしの小栗君の出演時間を減らした憎き相手…)辺見という謎の男。彼と両角の関係は不思議なものでした。辺見が16歳の頃に起こした一家殺人事件を知った両角は、彼のファンになって刑務所に手紙を出していました。二人の文通は頻繁に行われ、そのうち辺見のほうが両角に対して共鳴していったのだそうです。(彼が僕のファンになった、と発言)

どんなやり取りが行われていたのかは不明ですが、両角の「作品」を創るアシスタント的役割を辺見が担っていたことがわかっています。

「キャラクター」まとめ

映画「キャラクター」は、漫画で描いたことが現実になるというキャッチーなプロットであり、演者は菅田将暉、そしてキラーにFukaseをスクリーンデビューさせる話題性を持ち、ビジュアルイメージもピンクや蛍光灯などでポップ。ともすれば、話題性だけに頼ったチープなグロ映画なのでは?と怪しむ方もいたのではないのでしょうか。けれど、この作品はそれらのポップな素材をしっかりと繋ぎとめて考察を煽るような深みのある作品でした。しいて言うなら、両角の家の中とかやりすぎやろって正直思いましたけどw、それはそれとして、嬉しかったのはバッドエンドではなく、山城、両角の両者が生還しているところですね。両角に関しては、謎のコミュニティからこの作品に至るまでの空白時間をもっと描けるでしょうし、山城の一皮むけた漫画家としての今後にもすごく興味があります。

続編、スピンオフがとっても期待できるので「キャラクター」製作委員会の皆様!ぜひ!よろしくお願いしまぁーーーーーーす!(^^)/

「キャラクター」の概要

トレーラー

あらすじ

漫画家として売れることを夢見る主人公・山城圭吾(菅田将暉)。高い画力があるにも関わらず、お人好しすぎる性格ゆえにリアルな悪役キャラクターを描くことができず、万年アシスタント生活を送っていた。ある日、「誰が見ても幸せそうな家」のスケッチを描いてくるよういわれた彼は、住宅街の中にイメージに合う一軒家を見つけ、ふとしたことから中に足を踏み入れてしまう。そこで彼が目にしたのは、見るも無残な姿になり果てた4人家族……そして、彼らの前に佇む一人の男だった。

スタッフ

  • 監督:永井聡
  • 脚本:長崎尚志(リチャード・ウー)、川原杏奈、永井聡
  • 原作:オリジナル
  • 主題歌:「Character」ACAね(ずっと真夜中でいいのに。)× Rin音  Prod by Yaffle
  • 製作:映画「キャラクター」製作委員会
  • 制作会社:AOI Pro.
  • 配給:東宝

キャスト

山城圭吾役
菅田将暉
ロレイン・ウォーレン役
ヴェラ・ファーミガ
引用:Wikipedia
両角-Morozumi役
Fukase(SEKAI NO OWARI)
エド・ウォーレン役
パトリック・ウィルソン
引用:Wikipedia
清田俊介(刑事)
小栗旬
キャロリン・ペロン役
リリ・テイラー
引用:映画.com
  • 高畑充希 ― 川瀬夏美(山城の恋人、後に妻)
  • 中村獅童 ―真壁孝太(清田刑事の上司)
  • 中尾明慶 ―大村誠(漫画編集者)
  • 松田洋治 ―辺見敦(殺人を自白する謎の男) ほか
Twitterからの読者コメントをお待ちしています。
ブログ更新の励みになります!
スポンサーリンク
ABOUT ME
Aoringo
Aoringo
にわかホラー研究員
関西在住。ホラー映画を見たりホラーに関することで興味が出たものをマイペースに調べたりしてブログ記事にしています。いろんな映画を観るよりは好きな作品やシリーズを掘り下げるのが好きです。もっぱら在宅シネマ―で動画配信サービス&BS/CS録画で楽しんでます。
スポンサーリンク
記事URLをコピーしました