完全に遊んでる「ムカデ人間3」-The Human Centipede III (2014)考察&レビュー


つなげてみちゃった→もっとつなげちゃった→そして遂に、ぜ・ん・ぶ・つ・な・げ・ま・し・た。ニッチな熱烈ファン(私を含む)に支持されここまできてしまったムカデ人間シリーズ第3弾。もはや映画としての完成度を完全無視した単なるファンサービスと疑ってしまう。1の変態ハイター先生、2の最強サイコ、マーティン役を演じた彼らが同時出演する名(迷?)作、最後までいろんな意味で見届けてほしい…
「ムカデ人間3」について
性懲りもなく「ムカデ人間3」です。
本作は完全に遊んでます。監督まで出演してもうめちゃめちゃ。
まずはなんと言っても「ムカデ人間1」でムカデ人間を考案してしまった変態ドクターであり、ホラー映画界のマッド・サイエンティストとしてもその名を轟かせている(?)ハイター先生を演じたディーター・ラーザー、「ムカデ人間2」主演のサイコ野郎マーティンを演じたローレンス・R・ハーヴィーの共演でしょう。
今回はふたりともそれぞれが前作とは全くタイプの違う役柄で出演してるのは注目!
トム・シックスが脚本・監督を務めたムカデ人間』3部作の完結編。『ムカデ人間3』は2015年5月22日に劇場公開とビデオオンデマンドで配信されましたが、評論家からはめちゃくちゃ否定的に叩かれまくったそうですww(気持ちは分かる)
俳優陣の新たな一面
1でハイター先生を演じたディーター・ラーザー、今回は粗暴で落ち着きのない刑務所の所長ビル・ボスを演じてます。凶悪な囚人たちに怒り狂ってついには拷問をはじめちゃうぶっ飛んだ所長です。やはり一筋縄では行かないムカデ人間の主人公たち。ハイター先生は変態ながらも落ち着いた優雅な雰囲気がありましたから、これはかなり強烈なキャラ変です。これでもかって放送禁止用語を大声で叫びまくり。
一方、前作でトンデモなマーティンを演じたロレイン・R・ハーヴィーは落ち着いたちょび髭のデキる部下になりました。救いのなかった役柄だっただけに、健康そうな彼の姿を見られるだけでホッとしてしまいます。
さらに1で登場し関西弁で私をおおいに驚かせお茶の間に関西テレビの風を吹かせたカツロー。彼を演じた北村昭博さんも囚人の一人として再出演しております。
マーティンを超えた?ビル・ボスの暴走
前作「ムカデ人間2」のマーティン、救いのない哀れな人生で歪な性癖と願望を持っていた彼でしたが、それはある意味で純粋な願望を叶えるための行動でした。そのため、目標に向かって邁進するある意味でシンプルな動機による納得のできる(理解ができるとはいってないw)展開ではあったわけです。
しかし、今回のビル・ボスの行動に至っては理解不能、納得もできない衝動的すぎる愚行の数々。もはや、1と2でやり残したことを全部やってやるぞ、そしてさっそうと映画界を去ってもいい!っていう監督の決意すら感じさせるやりすぎ感がありました。(そんな決意をしたかは定かではありません)
間違いなく最強に凶暴なサイコ
本作は、刑務所の監視側の人間と、監視される側の囚人たちという設定のため、これまでよりムカデ人間にするために人を拉致したり監禁したりするまでのくだりがないぶん、拷問シーンや囚人、はたまた秘書のデイジーに対するレイプシーンまでこれでもかと残虐行為が行われていきます。
傷口に挿入してファック(される)夢、病床で瀕死の女性をファック…ビル・ボスは間違いなくシリーズの中で飛び抜けた変態でありサイコパス、最も凶暴性のある人物に間違いありません。もはやハイター先生とマーティンが可愛く感じますね。
殺すならムカデにせんでもいいのでは
刑務所の存続をかけて、経費削減と囚人たちの抑圧のためにムカデ人間作戦を決行するわけですが、その前にビルはバンバン囚人を撃ち殺してる…。そこまでするなら、いっそ普通に銃殺して人数削減すればいいのでは、って思っちゃうけどwそれだと映画が成り立たないので仕方ないですね。
むしろ、そんなものは建前であって後半はその屈辱的な姿に改造するそのこと自体が楽しくて仕方ない様子のビル・ボス。
本当はこれがやりたかったのでは…
そして、ついに本作では、終身刑の囚人や死刑囚たちによる手も足もないイモムシ人間まで作られてしまいました。
えぐいです。
映像として最悪です。
喜んでいるのはビル・ボスだけで、州知事もドレイクもノーコメント。ここまでくれば無理もありません。
そしてファイナルシーン…
医者も右腕ドレイクも殺してしまい、裸になって叫ぶビル・ボスの姿が…。ふと私の頭をよぎったのは、夕焼けの中でチェーンソーを振り回すレザーフェイスの姿(悪魔のいけにえ)でした。
一体この映画は何だったんでしょうか。トム・シックスが表現したかったことの真意とは…謎です。悪趣味な自慰行為をここまで映像として具現化させた監督の執念は恐ろしいですし称賛すら覚えます。
はあ…
俳優陣について
まさかの大物が出演

州知事を演じたエリック・ロバーツは、数々の名作にも出演している今回の出演者の中ではだんとつメジャーな俳優さんでしょう。日本公開作品は少ないものの、B級ムービーからメジャードラマまで、出演作品は150本ほど。ゴールデン・グローブ賞の主演男優賞ノミネートの実績もあります。
しかも今回の出演は「ムカデ人間」のファンだからっていうのですから…この作品の謎の深さを感じざるをえません(悔しい)。渋くて怖い雰囲気がただもんのじゃない感ありましたよね。最新作だとブラッド・ピット主演「バビロン」にも出演されています。
Mr.ムカデ人間たち
ディーター・ラーザー

1でハイター先生、本作でビル・ボスを演じたディーター・ラーザー。ドイツの俳優さんです。1968年から、50年以上に及び俳優活動を続けてきた大ベテランの彼ですが、67歳で主演を努めた「ムカデ人間」が最も出世作となったようです。
トム・シックス監督は、それまでの彼の作品を観ておりその演技に感銘を受けての抜擢だったそうですよ。

そして、残念ながら2020年2月、78歳で死去されています。
ローレンス・R・ハーヴィー

ローレンスについては「ムカデ人間2」のレビューでも解説してますが、ムカデ人間出演をきっかけに彼女ができたり、実は親日家でもあるという大変好印象な人物です。いろいろな作品にちょい役で出てるっぽいですが、なかなか個性の強い俳優さんなので今後さらなる活躍をずっと期待しているところ。
Twitterで彼をフォローしてますが、度々エログロなリツイートが表示されるのを何とかしたいって思ってます。
「ムカデ人間3」概要
そんなわけで、レビューのために久しぶりに「ムカデ人間」を観てしまいました。

アマプラの有料チャンネルに登録までして観たわよ…

予告トレーラー
刑務所の所長ビル・ボスは問題を 抱えていた。彼の刑務所は、暴動数、医療費、離職率が全米ワーストワンで、見かねた州知事から「このまま では解雇する」と最後通告を受けていたのだ。ビルは囚人たちを手なずけるためあらゆる方策を試すが、うまくいかない。そんなある日、ビルは忠実なる右腕のドワイトから、何十億ドルを削減できる夢のようなアイディアを提案される。
それは「ムカデ人間」と呼ばれる映画に基づいたアイディアで、文字通り、囚人たちに究極の罰と抑止力を与えるというものだった!つなげてしまえば、食費だってたったの1人分!!
スタッフ
- 監督:トム・シックス
- 脚本:トム・シックス
- 原作:オリジナル
- 主題歌:ー
- 製作:シックス・エンターテイメント・カンパニー
- 配給:トランスフォーマー(日本)
キャスト
- ディーター・ラーザー ― 所長ビル・ボス
- ローレンス・R・ハーヴィー ― ドワイト・バトラー
- ロバート・ラサード ― 囚人297号
- タイニー・リスター・Jr. ー囚人178号
- ジェイ・タバーレ ー囚人346号
- エリック・ロバーツ ーヒューズ州知事
- ブリー・オルソン ーデイジー
- クレイトン・ローナー ー医師ジョーンズ
- トム・シックス ー本人役
- 北村昭博 ー囚人333号
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