京極夏彦の小説・書籍まとめ
この記事では私の大好きな妖怪・ミステリ小説家の京極夏彦先生についてまとめています。
京極夏彦にハマったきっかけ
京極夏彦さんの小説の中で最も人気で知名度のあるシリーズ「百鬼夜行シリーズ」は、古書店店主であり陰陽師の中禅寺秋彦、小説家の関口巽、刑事の木場修太朗、不思議な力を持つ探偵・榎津礼次郎の4人を中心にして、凄惨な事件や摩訶不思議な出来事、もつれにもつれる謎が毎度「妖怪」になぞらえて展開していき、最後にあらゆる伏線が一気に収束するスカッと感がやみつきになるミステリー小説シリーズです。
このシリーズは1994年に発刊された著者のデビュー作にもあたる「姑獲鳥の夏(うぶめのなつ)」を皮切りに、2023年9月に発刊されたばかりの「鵺の牌(ぬえのいしぶみ)」まで合わせて全10作が発表されています。
私もこの「姑獲鳥の夏」が始めての京極夏彦作品となりましたが、読んだのは2008年頃のこと。友人から強く勧められたのがきっかけでした。
戦後の昭和20年代を舞台にした物語は、不可解で非現実的な怪奇現象を描きながらも至って論理的で、科学、社会学、民俗学、信仰などあれゆる観点から人間の文化や概念や脳の仕組みなどの解説が繰り広げられます。
そして、ミステリー小説の醍醐味である犯人捜しや種明かしを「憑物落とし」と表現し、物理的なトリックを暴くのではなく、「言葉(理屈?)」によってもつれた謎をスルスルと解決していくのです。
こんな話何の関係があるん?ってな難しい内容の段落も多く、私なんかは読んでても10分の2か3程度も理解できてないことが多いのですが、これらが最終的になくてはならなかったんだと納得させられる…。
よくわからんかったけど、このためのあの話やってんな!程度の理解ですw
さらに、なんといっても魅力的なのは登場人物たちです。
前述した個性豊かなメインキャラはもとより、わき役にいたるまで本当にキャラクターが立っていて、いわゆる「悪者」「犯人」にあたる人物に至ってもこれまた魅力的で、どうも嫌いになれない。そういう風にできている作品です。
そこから、約15年に渡りコツコツと京極先生の著書を読み進めています。
京極夏彦さんの来歴
京極 夏彦(きょうごく なつひこ)さんは、北海道小樽市出身の1963年3月26日生まれ。
職業は、日本の小説家、妖怪研究家、グラフィックデザイナー、アートディレクターと紹介されています。
そう、京極先生の作品の面白いところは、小説の内容だけでなく装丁やページ構成なども著者本人が手がけているところです。グラフィックデザイナー・アートディレクターとして桑沢デザイン研究所を経て広告代理店に勤務されていたそうですからデザインのプロですね。
例えば、文章はページをまたぐことがないとか有名です。本そのものがデザインされているんですね。
なんとなく書いた処女作がヒット
Wikipediaによると、、バブル崩壊後の不景気で会社の仕事はあまりなく底冷えが続く中、思いついた企画書をいくつか作った後の暇な時間に、何となく小説『姑獲鳥の夏』を書いた、と記されています。
何となくあんな凄いのが書けるってどういうことですかね。
それで、その作品を講談社ノベルスに持ち込んだそうですが、それを読んだ編集者さんは、「著名な作家が編集部のリテラシーを試しているイタズラでは」とまで感じた出来だったそうです。
そんなわけですぐさま書籍化されヒット。立て続けに「魍魎の匣」「狂骨の夢」と次々にヒット作を飛ばし、あっという間に大人気ミステリー作家となられたのであります。
妖怪×京極夏彦
友人がなぜ私に京極夏彦さんの小説を勧めたのかというと、私が「ゲゲゲの鬼太郎」フィギュアを熱心に集めていたからでした。君ならきっとこの本を面白いと思うよって勧めてくれました。
そして、ゲゲゲの鬼太郎の作者である水木しげる先生と、京極夏彦さんが懇意な仲であることも同時に知り小説の面白さと相まって余計に「妖怪」に憑りつかれたのでした。
当時は水木しげる先生もまだお元気で、夏には京都の太秦映画村で「妖怪祭り」というのがあって、何度か足を運びました。そこでは映画村の古いセットの中を妖怪に扮した演者さんたちがそぞろ歩く百鬼夜行があったり、水木しげる先生や京極先生、宮部みゆきさん、荒俣宏さん、多田克己さんなど豪華すぎる面々がステージで妖怪トークを繰り広げるという夢のような時間もありました。
著名な作家が並んで妖怪についてキャッキャと楽しくトークしてるんですから、もう尊いことこの上ないです。勿論学問的な話もあってかなり専門的で高度な内容もあったりして私にはついていけないこともありましたが…。
さらには、京極先生がご自身の作品や手書きイラスト入り!の色紙を販売されるという、しかもそこにご本人が来てしまうという出血大サービスまであったのです。
今思えば何て贅沢な時間だったのかと思います。もちろん買いました、「陰摩羅鬼の瑕」のイラスト入り直筆色紙。
京極夏彦さんの書籍・作品
発刊日は、新書および単行本として同タイトルが初めて発表された日としています。
前述した、京極夏彦さんの作品の中で私が一番好きでもあり、一般的に最も有名な詩リースがこちら。
京極堂(陰陽師の中禅寺秋彦)が活躍する長作品(俗に”京極堂シリーズ”と呼ばれることもある)をメインとしながら、その他の登場人物を主人公にしたスピンオフ(番外編)作品から成りたっています。
江戸時代末期の天保年間を舞台に、晴らせぬ恨み、あちら立てればこちらの立たぬ困難な問題を金で請け負い、妖怪になぞらえて解決する小悪党たちの活躍を描く時代劇シリーズ。
百鬼夜行シリーズが、妖怪の仕業に見える不思議な事件を科学的・論理的に解明して解決するのに対し、本シリーズは逆に人の心の綾を妖怪の仕業に仕立てることで解決するところに特徴があり、『後巷説百物語』で第130回直木三十五賞、『西巷説百物語』で第24回柴田錬三郎賞、『遠巷説百物』で第56回吉川英治文学賞と、3冠受賞している時代物シリーズです。
お菊さんで有名な「番町皿屋敷」、お岩さんで有名な「四谷怪談」など、古典の怪談を、登場人物などの要素や筋立てを利用して、組み直した作品たち。
おどろおどろしい背景と、男女の現代的視点からの心理描写が精緻な作品群。
ルー=ガルー
当初「女子高生SF小説」として構想が語られていた作品で、コミックやアニメ映画にもなっているシリーズ。
豆腐小僧シリーズ
豆腐を持った可愛い妖怪”豆腐小僧”が自分探しの旅に出るシリーズ。自分とは何者か?という答えをもとめて、豆腐小僧が自我に目覚めていく過程を軸にして、妖怪とは何かを順序だてて解説している点が、妖怪入門の書としても面白いシリーズとなっています。
現代を舞台に、江戸時代に書かれた怪談を現代語訳した「旧談」や、現代怪談などの短編集シリーズ。
書楼弔堂シリーズ
舞台は明治時代の中期。古今東西のあらゆる書物が揃う「書楼弔堂」という古本屋が舞台で、一部の章を除いて実在の人物が登場。また、各巻ごとに主人公が変わるシリーズ。
虚実妖怪百物語シリーズ
2011年から2018年まで「怪」にて連載された、妖怪大戦争シリーズと帝都物語シリーズをベースにした作品で、著書の中でも最大の長編となっている。最大の特徴は、なんと言ってもその異様にカオスなストーリー展開であり、(登場人物いわく)極めて節操がないほどの大規模なクロスオーバーが特徴。キャラクターだけでなく、実在の人物たちが実名で登場している。
京極夏彦さんが参加している複数作家による選集・アンソロジー作品。おおまかに決められている書籍のテーマに沿って様々な角度から京極作品だけでなく、他の著名な作家の短編をサクッと読めるのがアンソロジーのおもしろいところ。
京極夏彦といえばギャグのエッセンスも尖っていてかなりおもしろい。エッセイなどではそのあたりが十分に楽しめる。大沢在昌、宮部みゆき、京極夏彦が在籍する「大極宮」公式ホームページに掲載されていたエッセイは作家の個性が突き抜けていて読み応えあり。
水木しげる先生との妖怪談義から、安倍晴明、ミステリ小説、R25までジャンル豊かな座談本がある。
シリーズ化されていないものの、傑作と言える作品が他にもたくさんある。
「どすこい。」「南極。」はギャグに振り切っているし、悪寒、嫌悪、拒絶…あらゆる不愉快、詰め込んだ「厭な小説」、じんわり沁みる老人小説「オジいサン」、日本民族学の黎明を告げた名著『遠野物語』を現代語訳した「遠野物語remix」など。
京極夏彦が手がける絵本も多い。
怪談や幻想文学の第一線で活躍する作家たちと、ベテランから新進まで異彩を放つ作風で実績ある画家たちとが相携えて、子供たちの柔らかな魂を揺さぶり、視えない世界への畏敬の念や未知なるものへの憧れを育むような、かつてないコンセプトの絵本を生み出したい!と誕生した「怪談えほん」シリーズなど。
小説家としてだけでなく、妖怪研究家としても知られる京極夏彦さんによる「妖怪研究」に関する著書も多いが、内容がかなり深く専門的なので素人には難しい。
まとめ
京極夏彦さんに関する書籍は、これらの他にも水木しげる先生関連書籍に監修として携わっておられたり、装丁に携わっておられたりと多岐に渡りますが、まずは上記の執筆作品や原作提供、対談などをメインとして紹介させていただきました。
やはり「妖怪」に関係する著書が圧倒的に多いのですが、それ以外にも京極先生のコミカルな一面を堪能できる作品などもあって、知れば知るほど沼っていく奥が深い京極ワールドでございます。
私自身、全作品を読めてはいないのでこれから1つずつ堪能していきたいと思ってます。それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!
京極夏彦さんに関するグッズ
妖怪・日本の怪奇談
当ブログに掲載している日本の妖怪・怪奇談。
当ブログはホラー好きな管理人がにわか研究員としてホラー映画やミステリー小説などをマイペースに掘り下げているブログです。
Twitterでは新着情報とかを発信中。