京極夏彦の長編小説〈百鬼夜行シリーズ〉全まとめ
この記事では私の大好きなミステリー小説「百鬼夜行シリーズ」の京極夏彦先生についてまとめています。
京極夏彦とは?
京極夏彦さんの小説の中で最も人気で知名度のあるシリーズ「百鬼夜行シリーズ」。「魍魎の匣」や「姑獲鳥の夏」などは映画化もされているのでご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「ゲゲゲの鬼太郎」の作者である水木しげる氏とも親交が深く、妖怪研究家としての一面も色濃い京極氏の手がける作品は、多くが「妖怪」に深く関係しています。
京極夏彦さんに関する書籍は↓の記事でまとめていますのでぜひ併せてごらんください。
この記事では、京極夏彦さんの書籍のうち、大人気の長編小説シリーズ「百鬼夜行シリーズ」に関する作品についてまとめています。
前述した、京極夏彦さんの作品の中で私が一番好きなシリーズです。京極堂(陰陽師の中禅寺)が活躍する長編(俗に”京極堂シリーズ”と呼ばれることもある)をメインとしながら、その他の登場人物を主人公にしたスピンオフ(番外編)から成りたっています。
中禅寺秋彦が「憑物落とし」をするメインの長編作品。
シリーズの中では厚みが薄いので比較的読みやすいですね。初めて読んだときの感想は、人の記憶や見ているものの不確かさなど自分の常識や当たり前を揺さぶられるような衝撃があったのを覚えてます。
自分の中にあった沸々としたもの、モヤモヤしてたものが明文化された爽快感と腹落ち感が凄まじかったのですごく没入しました。
また、古き日本の汗ばむ情景がありありと伝わってくる、眩暈を起こしそうな怪しい世界に没頭できます。東京では令和の今でも都市部で夏はミンミンゼミの声が聴けるという、関西では考えられないシチュエーションがありますのできっと物語でも眩暈坂を登るシーンで聞こえてくるのは「シャンシャン」といった煩いクマゼミの声ではなく、ミーンミーンと風情ある鳴き声なんだろうなーっとか、にわか蝉好きの私は考えてました。
『魍魎の匣』 -1995年1月
(もうりょうのはこ)第49回日本推理作家協会賞受賞作。箱を祀る奇妙な霊能者、箱詰めにされた少女達の四肢、そして巨大な箱型の建物――箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂の元へ。果たして憑物(つきもの)は落とせるのか!?
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もっとも有名であろうタイトルは映画化もされてますが、原作のほうが1000倍面白いと思います。事件の内容は凄惨でグロさ全開ですが、強面刑事・木場の淡い恋愛事情も垣間見れたり、京極堂(中禅寺)の過去が知れたり、登場人物のキャラクターがより際立っているのでより世界観に没入できます。また、前作より事件の規模もでかく書籍の厚みに比例して読み応え抜群です。
こちらは読んでからしばらく経っているので再読したいと思います。
また読み直してレビューします!
私が百鬼夜行シリーズの中で一番好きなタイトルで3度は読んでるかも。なんか、ふとあの世界に浸りたくなる時がくるんですよね…。深い山奥にひっそりと存在する宿や寺、そこに登場するたくさんのお坊さんや、山の中に住む振袖姿の少女など、非日常すぎるシチュエーションと雪が積もる寒い冬の中に引きずり込まれ読み終えるまで出てこれない、まさしく”檻”のような感覚を味わえます。
内容は仏教を主にして宗教の話題が多く、かなり専門的で難しいのですが般若心境や禅などわりと身近な題材でもあるので興味深く読み進めることもできます。
百鬼夜行シリーズ、私には基本的に内容が難しいので3回くらい読むとやっと理解が進みますw
また読み直してレビューします!
本作は、次作「塗仏の宴 宴の始末」で完結する構成なので謎だけが散りばめられた格好ですが、いくつかの小さな謎は本作の中で明らかになります。そして、もっと大掛かりな事件であることが仄めかされながら次に続く感じ。
17年ぶりに発刊された百鬼夜行シリーズ最新作「鵺の牌」を読了後、10年以上ぶりに読み直しました。「鵺の牌」は内容がすごい難しかったのこともあったので、非常に読みやすかったです…。正直難易度はこれくらいにしてほしいw
物語の内容は、怪しい宗教団体やそれに準ずるような団体がいくつか登場し、並走して謎の「消えた村」に関する凄惨な噂話を背景に、人の記憶の頼りなさや儚さ、現実とは何をもって現実なのか…?みたいな興味深い人間の心理描写もたくさんで非常に面白いです。
個人的には宮村と議論していた秋彦さんがワハハと大きく笑うシーンが尊かったです。ぜひ織作茜と共有したい。
前作に続き、これまでになく登場人物や組織が多くいため複雑怪奇なストーリーとなってますが、全ての謎が一気に解明(憑き物落とし的に言うと”解体・再構築”)されていく終盤はお見事。まさに絡まった糸が解れて再び(ある意味で)正しく結び直されていくような快感がありました。
謎が解けて正常化するのはスッキリするものの、全てが明るみになる素っ気なさも同時に感じるのが百鬼夜行シリーズの特徴。ああ、なんだそんなことなのか…と、まさに「この世に不思議なことなど何もないのだよーー」ですね。
また読み直してレビューします!
17年ぶりの新作!待ちに待った人も多い中で今回は久しぶりということもあってか?難易度の高い段落が多かった気がします…!難しかったよ~。これまでも、絡まりぐちゃぐちゃになった謎を京極堂が解き結び直して収束していく気持ちよさがシリーズの醍醐味ではありましたが、今回はそれがより意図的に、むしろそれが題材そのもので、様々な獣をつなぎ合わせた「鵺」という怪物になぞらえた物語となってました。
とっ散らかって最後に京極堂がサラッと出てきて謎が全てわかってしまうあっさりした感じはちょっと物足りない感じも正直したんですが、何より17年ぶりに登場人物たちにまた会えた喜びのほうが大きく、本当に発刊してくださりありがとうございました!という思いです。
百鬼夜行シリーズ コミック版
漫画家・志水アキさんによる百鬼夜行シリーズのコミック版。
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・コミック版『姑獲鳥の夏』を読む
・コミック版『魍魎の匣』を読む
・コミック版『狂骨の夢』を読む
・コミック版『鉄鼠の檻』を読む
・コミック版『絡新婦の理』を読む
「百鬼夜行シリーズ」のスピンオフ作品たち。メイン長編に登場する様々な人物のサイドストーリーを描く「百鬼夜行 陰/陽」シリーズ、探偵・榎木津礼二郎が大暴れして事件を破壊する「百器徒然袋」シリーズ、旅先で事件に首を突っ込んだ妖怪研究家・多々良勝五郎の的外れな推理がなぜか当たってしまう「今昔続百鬼」があります。
『百鬼夜行――陰』 -1999年7月
(ひゃっきやぎょう いん)「妖怪」はいずこより来るのか……。人の心は闇にあらねども、揺るぎないはずの世界が乱れたとき、その裂け目から恠(あや)しきものが湧き出し、取り憑く。他人の視線を畏れる者、煙に常軌を逸した執着をもつ火消し、「海」を忌む小説家……。日常に潜む恐怖を描く10の短篇から成る「京極堂サイドストーリーズ」
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主人公の多々良勝五郎のモデルとなった人物は、実在する妖怪研究家で作家の多田克己さん。実は、10年以上前になりますが京都太秦映画村・妖怪会議で握手をしてもらったことがあります。その時に私は多田さんに「猫は長生きすると本当に猫又になりますか?」っていうアホすぎる質問をしてしまったのですが、多田さんはちゃんと答えてくれました。「扉を自分で開く猫っているでしょう?そんな動物はなかなかいませんよね。なので扉開けだしたらもう半分妖怪みたいなもんじゃないですか?」とw(優しい) 結果、我が家に猫又らしき猫が1匹いることが判明しました。
作品レビューではなくて恐縮ですが、実際の多田さんを少し知ってるだけに多々良勝五郎の活躍(?)が活き活きと感じられてとても楽しめました。
『百鬼夜行――陽』 -2012年3月
(ひゃっきやぎょう よう)人に見えないものが視える。闇の中に、他人の恐怖が悔恨が苦痛が悲哀が―視えてしまう。そんな男、榎木津礼二郎にとりついているのは魚の眼だった(「目競」)。『狂骨の夢』『絡新婦の理』『邪魅の雫』他の名作、そして『鵺の碑』に登場する者たちの闇と因果を綴る怪異譚。魔術的な語りの果てに―妖しきものが現れる。
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・文庫版で読む
・定本(単行本)で読む
百器徒然袋コミック版
探偵・榎木津礼二郎が主人公の百器徒然袋シリーズのコミック版。漫画は百鬼夜行シリーズと同じく志水アキさんです。
\今すぐ観る&読む/
・『百器徒然袋 鳴釜 薔薇十字探偵の憂鬱』
・『百器徒然袋 雲外鏡 薔薇十字探偵の然疑』
・『百器徒然袋 瓶長 薔薇十字探偵の鬱憤』
・『百器徒然袋 山颪 薔薇十字探偵の憤慨』
・『百器徒然袋 面霊気 薔薇十字探偵の疑惑』
・『百器徒然袋 五徳猫 薔薇十字探偵の慨然』
主な登場人物は、中禅寺秋彦の妹で雑誌記者の中禅寺敦子と、『絡新婦の理』に登場した呉美由紀がペアになって事件に関わっていきます。
まとめ
今回は京極夏彦さんの小説のうち、「百鬼夜行シリーズ」に関する作品についてまとめてみました。他にも京極夏彦さんの小説やエッセイ、絵本などをまとめた記事をたくさん公開しています。
妖怪・日本の怪奇談
当ブログに掲載している日本の妖怪・怪奇談。
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