サターン・最優秀ホラー映画賞【2010年代の全ノミネート&受賞歴リスト】
こんにちは、Aoringoです。
この記事では、優秀だったホラー作品に贈られる【サターン最優秀ホラー映画賞】の2010年から2020年までの受賞結果をまとめています。
サターン賞とは?
サターン賞(Saturn Awards)は、ファンタジー、ホラー、およびSFの映画やテレビ番組に焦点を当てたアメリカの映画アワード。1973年に設立され、会員の投票によって受賞が決定。会員には、スティーブン・スピルバーグ、ジェームズ・キャメロンをはじめ、名だたる監督やテレビ人が名を連ねています。
第37回(2010)
受賞&ノミネート作品 |
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モールス |
ラスト・ターゲット |
ブラック・スワン |
キック・アス |
シャッター アイランド |
ウルフマン |
第37回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、マット・リーヴス監督の『モールス』(原題:Let Me In)でした。この作品は、2008年のスウェーデンの同名映画のリメイクです。
1980年代初頭のニューメキシコを舞台に、いじめられっこのオーウェン(コディ・スミット=マクフィー)が、同じアパートに引っ越してきた謎の少女アビー(クロエ・グレース・モレッツ)と友達になるところから始まります。
孤独を抱える二人は徐々に惹かれあい、絆を日に日に強くさせていきますが、オーウェンはある日アビーの抱える哀しくも恐ろしい秘密を知ることになる、という物語。
『モールス』は、少年たちの孤独や友情と同時に、恐ろしい運命と道徳の複雑さを描き、若い主演俳優たちの演技も賞賛され、リメイク作品として成功しました。
第38回(2011)
受賞&ノミネート作品 |
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ドラゴン・タトゥーの女 |
コンテイジョン |
デビルズ・ダブル -ある影武者の物語- |
ザ・グレイ 凍える太陽 |
テイク・シェルター |
遊星からの物体X ファーストコンタクト |
第38回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、『セブン』や『ソーシャル・ネットワーク』が有名なデヴィッド・フィンチャー監督のミステリー映画『ドラゴン・タトゥーの女』(原題:The Girl with the Dragon Tattoo)でした。
この作品は、2005年のスティーグ・ラーソンの推理小説『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』が原作となっています。
40年前に裕福な家族の女性が失踪した事件を調査するジャーナリストのミカエル・ブロムクヴィスト(ダニエル・クレイグ)と、卓越した調査能力を持つハッカー・リスベット・サランデル(ルーニー・マーラ)の活躍を追う物語です。
この映画は、大富豪の腐敗や家族の秘密を綿密なプロットで描き、監督独特のダークで雰囲気のあるトーンで仕上げ、アカデミー編集賞も受賞しました。
第39回(2012)
受賞&ノミネート作品 |
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キャビン |
アルゴ |
インポッシブル |
セブン・サイコパス |
ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館 |
ゼロ・ダーク・サーティ |
第39回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、ドリュー・ゴダード監督の『キャビン』(原題:The Cabin in the Woods)でした。
夏休みに山奥へとバカンスに出かけた大学生5人。古ぼけた山小屋の地下で見つけた謎の日記を読んだとき、何者かが目覚め、一人、また一人と殺されていく。しかしその裏には、彼らが「定番のシナリオ通り」死んでいくよう、全てをコントロールしている謎の組織が…という物語。
よくある、悪趣味な富裕層のための殺人ゲームかなにかなのか?と思わせておいて、実はどんでんがえし、まさか予想もしていない結末にはもう嗤うしかないというか、ホラー、モンスターが好きな人にとっては逆に胸熱展開が待っています。
第40回(2013)
受賞&ノミネート作品 |
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死霊館 |
キャリー |
MAMA |
パージ |
ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日 |
ウォーム・ボディーズ |
第40回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、ジェームズ・ワン監督の『死霊館』(原題:The Conjuring)でした。この作品は実話を基にした伝統的なオカルトホラー映画です。
1971年アメリカ・ロードアイランド州、両親と5人の娘たちが古びた一軒家に引っ越してきますが、その家では怪奇現象が次々と起こり、娘たちに危害が及んだことから母親は心霊研究家のロレイン夫妻に助けを求めます。
『ソウ』でデビューしたジェームズ・ワン監督。グロい映画を作るだけじゃなく、実話をもとにした本作では実際の事件関係者にインタビューを重ね、「作り物」ではない臨場感を追求!これで名実ともにホラー映画監督の地位を揺るぎないものにしました。
『死霊館』の作品レビューはこちら。
第41回(2014)
受賞&ノミネート作品 |
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ドラキュラZERO |
アナベル 死霊館の人形 |
ババドック 暗闇の魔物 |
ホーンズ 容疑者と告白の角 |
オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ |
パージ:アナーキー |
第41回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、ゲイリー・ショア監督の『ドラキュラZERO』(原題:Dracula Untold)でした。
この作品は、ヴァンパイアの神話と歴史小説を融合させ、ドラキュラの起源にフォーカスをあてた独特の吸血鬼映画。物語は、オスマン帝国から自国と家族を守るために暗黒の力と危険な契約を結ぶワラキアノ公爵、ウラド3世(ルーク・エヴァンス)を中心にしています。
『ドラキュラZERO』は、これまでのヴァンパイア映画で描かれた姿とは異なり、悲観的なヒーローとして人々の共感を得ました。
第42回(2015)
受賞&ノミネート作品 |
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クリムゾン・ピーク |
インシディアス 序章 |
イット・フォローズ |
クランプス 魔物の儀式 |
ヴィジット |
シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア |
第42回サターン賞最優秀ホラーF映画賞を受賞したのは、ギレルモ・デル・トロ監督のダークファンタジー映画『クリムゾン・ピーク』(原題:Crimson Peak)でした。
20世紀初頭、作家志望のイーディス(ミア・ワシコウスカ)は謎の男トーマス・シャープ(トム・ヒドルストン)に恋をして結婚。夫妻は”クリムゾン・ピーク”と呼ばれる広大な山の山頂にある屋敷に移り住むことに。しかし、イーディスが新たな生活に慣れるにつれ、亡霊たちが姿を現し、彼女に「気を付けろ」と謎の警告をするように…といった物語。
『クリムゾン・ピーク』は、ゴシック調で豪華な映像美、恐ろしい歴史を紐解くミステリー要素、ホラーとロマンスが楽しめる作品です。
また、ノミネート作品には当研究所推しの『インシディアス 序章』をはじめ、シャマラン監督の『ヴィジット』や『イットフォローズ』など当時話題となった作品も多く入ってますね。
第43回(2016)
受賞&ノミネート作品 |
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ドント・ブリーズ |
ジェーン・ドウの解剖 |
死霊館 エンフィールド事件 |
Demon(原題) |
ウィジャ ビギニング ~呪い襲い殺す~ |
新感染 ファイナル・エクスプレス |
ウィッチ |
第43回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、フェデ・アルバレス監督の『ドント・ブリーズ』(原題:Don’t Breathe)でした。
盲目の男性の家に強盗に入ろうとした若者3人。しかし、そこに住むのははただの老人ではなく、元軍人で超人的な聴力を持っているなどし、3人は予想外に大きな災難に見舞われることになるという物語。真っ暗闇の中、物音を出せば攻撃されるという極度の緊張状態の中で辿り着いた地下室。彼らが見た驚くべきものとは…?
見ている方も息をつく間もないほど緊張したがら二転三転する展開がすごく面白いです。そういえば、この作品以降、『ドント・○○』みたいなタイトルのホラーシネマが増えた気がしませんか?
第44回(2017)
受賞&ノミネート作品 |
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ゲット・アウト |
アナベル 死霊人形の誕生 |
ベター・ウォッチ・アウト: クリスマスの侵略者 |
海底47m |
IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 |
マザー! |
第44回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、ジョーダン・ピール監督の『ゲット・アウト』(原題:Get Out)でした。
アフリカ系アメリカ人の青年クリスが、白人の恋人ローズと一緒に、彼女の家族へ会いに行きますが、母親からの催眠術や洗脳、ひったくりを含む邪悪な陰謀など不穏なことが続きます。主人公は人種間の差別意識による違和感かと思いますが、事態は急速に恐ろしい方向へ進んでいくという物語。
人種やアイデンティティの問題など風刺的なアプローチを取り入れたこの作品はサターン以外に、アカデミー賞4部門ノミネート、オリジナル脚本賞受賞を含む数々の賞を受賞しました。
第45回(2018/2019)
受賞&ノミネート作品 |
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クワイエット・プレイス |
デッド・ドント・ダイ |
ヘレディタリー/継承 |
オーヴァーロード |
ペット・セメタリー |
アス |
第45回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、ジョン・クラシンスキー監督の『クワイエット・プレイス』(原題:A Quiet Place)でした。
音に反応し人間を襲う“何か”によって人類が滅亡の危機に瀕した世界。そこで生き延びるある家族に焦点を当てた物語です。呼吸の音すらも逃さないその”何か”に一瞬でも聞かれると即死するという、極度の緊張感を強いられる世界では、手話を使い、裸足で歩き、道には砂を敷き詰め、静寂と共に暮らす必要を強いられます。しかし、そんな中で出産を迫られるという…。
そのため映画自体も音が極端に少なく、観客も緊張感の中で驚き恐怖を感じる斬新な挑戦が評価されました。
第46回(2019/2020)
受賞&ノミネート作品 |
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透明人間 |
ドクター・スリープ |
ザ・スイッチ |
IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。 |
ミッドサマー |
レディ・オア・ノット |
スケアリーストーリーズ 怖い本 |
第46回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、『インシディアス』シリーズや『アップグレード』などのリー・ワネル監督による『透明人間』(原題:The Invisible Man)でした。
富豪で天才科学者エイドリアン(オリヴァー・ジャクソン=コーエン)からの異常な束縛から逃れられないセシリア(エリザベス・モス)は、彼が透明になれる技術を利用して自分を追い詰めていると疑うようになります。
見えないものを証明しようとするセシリアの焦り、支配や心理的虐待との闘いなどを描いており、サスペンス性の高さ、原作でもある1897年のH・G・ウェルズによる同名小説への革新的なアプローチなどが評価されました。
まとめ
いかがだったでしょうか?この記事では、【サターン賞】のうち優秀だったホラー作品に贈られる【最優秀ホラー映画賞】の2010年から2020年までの受賞結果をご紹介しました。
2010年代のホラー映画は、恐怖を引き起こすだけでなく、社会的、心理的、政治的なテーマについてアピールする映画が増加し、ホラー映画がより多様化した時代であったといえます。
『ババドック 暗闇の魔物』や『ヘレディタリー/継承』などは、単に怖がらせるだけでなく、心理的な恐怖をより掘り下げ、ジョーダン・ピール監督の『ゲット・アウト』や『アス』は人種間に関する鋭い社会風刺とホラーを融合させ、『ウィッチ』や『イット・フォローズ』などは、新しい時代の芸術的な要素を取り入れてスタイリッシュなホラー映画となりました。
また、ノミネートには入っていませんが、『アンフレンデッド』のようなSNSやインターネットをホラーの中心に位置づけたホラー映画の台頭もこの時代の大きな要素だといえそうです。
その他のサターンアワード受賞に関する記事
同じホラー賞の他の年代も記事にしていますので、ぜひご覧ください!
- 1970年代の【最優秀SF映画賞】受賞結果
- 1980年代の【最優秀SF映画賞】受賞結果
- 1990年代の【最優秀SF映画賞】受賞結果
- 2000年代の【最優秀SF映画賞】受賞結果
- 2010年代の【最優秀SF映画賞】受賞結果
- 2020年代の【最優秀SF映画賞】受賞結果(執筆中)
当ブログはホラー好きな管理人がにわか研究員としてホラー映画やミステリー小説などをマイペースに掘り下げているブログです。
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ホラー映画の古典・1919年『カリガリ博士』から最新作『PIGGY』まで新旧のホラー映画、メジャータイトルからマイナー作品まで揃ってるので、ホラー映画好きにはとくにマストともいえるU-NEXT。
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