サターン・最優秀ホラー映画賞【1990年代の全ノミネート&受賞歴リスト】

こんにちは、Aoringoです。
この記事では、アメリカで毎年発表されているファンタジー、ホラー、およびSFの映画やテレビ番組に焦点を当てたアメリカの映画アワード、【サターン賞】のうち優秀だったホラー作品に贈られる【最優秀ホラー映画賞】の1991年から1999年までの受賞結果をまとめています。
サターン賞とは?
サターン賞(Saturn Awards)は、ファンタジー、ホラー、およびSFの映画やテレビ番組に焦点を当てたアメリカの映画アワード。1973年に設立され、会員の投票によって受賞が決定。会員には、スティーブン・スピルバーグ、ジェームズ・キャメロンをはじめ、名だたる監督やテレビ人が名を連ねています。

第18回(1991)

受賞&ノミネート作品 |
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羊たちの沈黙 |
ボディ・パーツ |
チャイルド・プレイ3 |
バンパイヤ・タウン |
ドール・ハウス |
ミザリー |
ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀 |
愛がこわれるとき |
第18回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、トマス・ハリスの小説が原作でジョナサン・デミが監督した『羊たちの沈黙』(原題:The Silence of the Lambs)でした。
この作品は、若いFBI研修生クラリス・スターリング(ジョディ・フォスター)が、女性の被害者の皮を剥ぐことで悪名高い連続殺人犯「バッファロー・ビル」の捕獲を任され、その検挙のため犯人の心理を理解するため、天才的な精神科医であり、人食い連続殺人犯であるハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)の助けを求める物語です。
レクター博士とクラリスの会話シーンは、彼女の過去のトラウマを引き合いに絶妙なやりとりが非常に緊迫感があり、最上のスリラーとなっています。さらに、ジョディ・フォスター、アンソニー・ホプキンスの鬼気迫る卓越した演技、犯罪心理を探る複雑なプロットなどが高く評価され、今でもサスペンススリラー映画の代表の一つとして数えられています。
『羊たちの沈黙』のレビュー記事はこちらです。


第19回(1992)

受賞&ノミネート作品 |
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ドラキュラ |
氷の微笑 |
キャンディマン |
ブレインデッド |
ゆりかごを揺らす手 |
ヘルレイザー3 |
ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間 |
第19回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、フランシス・フォード・コッポラ監督の『ドラキュラ』(原題:Bram Stoker’s Dracula)でした。この作品は、ブラム・ストーカーの有名な小説を映画化したゴシックホラーです。
1462年、ドラクル(ゲイリー・オールドマン)は妻の死を悲観し吸血鬼となる。その後、1897年にドラキュラ伯爵となった彼は、城に呼んだ弁護士・ジョナサン(キアヌ・リーブス)に正体を知られたことで監禁します。そして伯爵は、ロンドンに渡り、ジョナサンの婚約者であり亡き妻と瓜二つの女性ミナ(ウィノナ・ライダー)と出会います。
城から脱出したジョナサンは、ドラキュラ伯爵がミナを奪おうとしていることを知ってヴァン・ヘルシング(アンソニー・ホプキンス)と共にドラキュラに戦いを挑みます。
映画『ドラキュラ』は、豪華な映像、原作のゴシックな雰囲気への忠実な再現、そして主役ゲイリー・オールドマンの演技が特に評価され、彼の複雑な心理と性質を見事に描いています。

第20回(1993)

受賞&ノミネート作品 |
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死霊のはらわたIII/キャプテン・スーパーマーケット |
ダーク・ハーフ |
危険な遊び |
ハード・ターゲット |
カリフォルニア |
ニードフル・シングス |
失踪 |
第20回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、サム・ライミ監督の『死霊のはらわたIII』(原題:Army of Darkness)でした。前作『死霊のはらわたⅡ』の後、アッシュ・ウィリアム(ブルース・キャンベル)が中世に転送されるところから始まります。
手にチェーンソー、肩にショットガンを装備したアッシュは自分の時代に戻るため、鍵となる書物を探し出さねばなりません。それをアンデッドの手から守り、同時にアンデッドに悩まされる中世時代の民たちを率いて戦う物語です。
この作品は、コメディたっぷりのアクションでありながら、スプラッタ表現のあるホラー映画として。また渋々ヒーローとなるアッシュのキャラクターが受け、カルト的な人気を博しました。

第21回(1994)

受賞&ノミネート作品 |
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インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア |
クロノス |
クロウ/飛翔伝説 |
フランケンシュタイン |
モスキート |
エルム街の悪夢/ザ・リアルナイトメア |
ウルフ |
第21回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、アン・ライスの小説『夜明けのヴァンパイア』を原作としたゴシックホラー映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(原題:Interview with the Vampire)でした。
この作品は、18世紀末に妻を亡くした悪魔的美貌を持つ吸血鬼レスタット(トム・クルーズ)によって吸血鬼にとして命を与えられたルイ(ブラッド・ピット)が数世紀後の現代のサンフランシスコで、自身の吸血鬼としての人生を語るインタビュー形式で進行します。
このヴァンパイア映画は、不死、道徳、孤独、そしてアンデッドという彼自身の存在の実存的危機といったテーマを描いており、吸血鬼の暗く魅惑的な世界を美しく描写したことで知られています。

第22回(1995)

受賞&ノミネート作品 |
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フロム・ダスク・ティル・ドーン |
ロスト・チルドレン |
マウス・オブ・マッドネス |
ロード・オブ・イリュージョン |
ミュート・ウィットネス |
プロフェシー/ゴッド・アーミー |
デーモン・ナイト |
第22回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、クエンティン・タランティーノ脚本、ロバート・ロドリゲス監督のアクションホラー映画『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(原題:From Dusk till Dawn)でした。
犯罪者兄弟のセス(ジョージ・クルーニー)とリッチー(クエンティン・タランティーノ)が、メキシコの国境を目指してある家族を人質にとるのですが、最終的には吸血鬼が出没する酒場に閉じ込められてしまう、という物語です。
1996年に公開された当時は、批評家からは暴力的すぎるとされる一方で良く作られていると賛否両論を巻き起こしたそうです。興行的には成功をおさめ、その後カルト的な人気を得て、続編映画やビデオゲームなどにもなりました。

第23回(1996)

受賞&ノミネート作品 |
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スクリーム |
Cemetery Man(原題) |
ザ・クラフト |
フェティッシュ |
さまよう魂たち |
レリック |
第23回サターン賞最優秀ホラーF映画賞を受賞したのは、ウェス・クレイヴン監督の『スクリーム』(原題:Scream)。この作品は、これまでのスラッシャー映画にユーモアと風刺を取り入れ新たな息吹をもたらし大ヒットとなりました。
田舎町のウッズボローで、高校生のカップルが殺人鬼「ゴーストフェイス」に惨殺される事件が起き、高校生シドニー(ネーヴ・キャンベル)もその標的になってしまいます。死体の数はさらに増えていく中で、シドニーは友人の中にいることに気づきます。
『スクリーム』は、ホラー映画定番の決まり文句や死亡フラグを巧みに使ってはホラー映画ファンを楽しませつつ物語を進行させ、観客も巻き込んでのサスペンスを盛り上げることに成功しました。巧みな脚本、印象的なキャラクター、ユーモアなども評価され、後にシリーズが何作も誕生しました。

第24回(1997)

受賞&ノミネート作品 |
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ディアボロス 悪魔の扉 |
アナコンダ |
ラストサマー |
ミミック |
ファントム |
スクリーム2 |
第25回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、テイラー・ハックフォードが監督したオカルトスリラー映画『ディアボロス 悪魔の扉』(原題:The Devil’s Advocate)でした。
この映画は、野心的な若手弁護士ケビン(キアヌ・リーブス)と謎めいたカリスマ弁護士ジョン(アル・パチーノ)、二人の弁護士が中心になるオカルトスリラーです。
ニューヨークに越してきたケビン夫妻。夫は弁護士として成功し多忙を極めていく一方で、妻のメアリー(シャーリーズ・セロン)は恐ろしい幻覚と苦悩に苛まれていくようになります。さらに、ケビンも自分が勤める法律事務所に何か不吉なものがあると違和感を感じ始めるように。
徐々に、カリスマ的な弁護士ジョンが実はサタンであり、人々を操ってケビンを陥れようとしていることなどが明らかになっていきます。
映画『ディアボロス 悪魔の扉』は、法律ドラマとオカルトの融合という設定が面白く、特にアル・パチーノの強烈な演技が当時注目されました。さらに、最後はどんでん返しの結末が待っています。

第25回(1998)

受賞&ノミネート作品 |
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ゴールデンボーイ |
ブレイド |
チャイルド・プレイ/チャッキーの花嫁 |
パラサイト |
ハロウィンH20 |
ヴァンパイア/最期の聖戦 |
第26回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、スティーブン・キング原作でブライアン・シンガーが監督した『ゴールデンボーイ』(原題:Apt Pupil)でした。
ロサンゼルスで暮らす成績優秀な高校生トッド(ブラッド・レンフロ)は、ナチスによるホロコーストの研究を続けていました。そんなある日、近所に住む老人がかつてアウシュヴィッツ収容所の副所長で、吸血鬼の異名で恐れられた戦争犯罪人クルト(イアン・マッケラン)だということを知ってしまう、という物語です。
この作品は、過去の暗いテーマ、権力の腐敗、歴史的な残虐行為が後世に与える影響などを描いています。特にイアン・マッケランの演技が賞賛されました。

第26回(1999)

受賞&ノミネート作品 |
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シックス・センス |
ブレア・ウィッチ・プロジェクト |
ラビナス |
スリーピー・ホロウ |
スティグマータ/聖痕 |
鬼教師ミセス・ティングル |
第27回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、M・ナイト・シャマラン監督の名を世界に轟かせた名作『シックスセンス』(原題:The Sixth Sense)でした。
死者が見え、死者と交信することができる8歳の少年コールが、恐ろしい幻影に悩まされるのを児童心理学者のマルコム・クロウが助けようとする物語です。
サスペンスフルな雰囲気と筋書きのひねり、そしてコールを演じたヘイリー・ジョエル・オスメントの象徴的な演技で知られています。アカデミー賞では作品賞を含む6部門にノミネートされ、それ以外にも多くのアワードにノミネートされました。
2013年には、アメリカ脚本家組合によって、この脚本が史上最高の脚本101のリストで50位にランク付けされました。
まとめ
いかがだったでしょうか?この記事では、【サターン賞】のうち優秀だったホラー作品に贈られる【最優秀ホラー映画賞】の1990年から1999年までの受賞結果をご紹介しました。
90年代は、古典である吸血鬼や狼男の物語に革新的な解釈や設定を与えた作品も多く評価される一方で、『シックスセンス』や『スクリーム』など後世のホラー映画に大きな影響を与えることとなる名作も並びました。
ホラー映画がますます多様化し、ミステリアスなサスペンスの要素を含むものが多いなとも思いました。逆に、91年の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀』以降、ゾンビ映画が姿を現してません。
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