サターン・最優秀ホラー映画賞【1980年代の全ノミネート&受賞歴リスト】
こんにちは、Aoringoです。
この記事では、アメリカで毎年発表されているファンタジー、ホラー、およびSFの映画やテレビ番組に焦点を当てたアメリカの映画アワード、【サターン賞】のうち優秀だったホラー作品に贈られる【最優秀ホラー映画賞】の1980年から1990年までの受賞結果をまとめています。
サターン賞とは?
サターン賞(Saturn Awards)は、ファンタジー、ホラー、およびSFの映画やテレビ番組に焦点を当てたアメリカの映画アワード。1973年に設立され、会員の投票によって受賞が決定。会員には、スティーブン・スピルバーグ、ジェームズ・キャメロンをはじめ、名だたる監督やテレビ人が名を連ねています。
第8回(1980)
受賞&ノミネート作品 |
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ハウリング |
Dressed to Kill(原題) |
フェイドTOブラック |
ザ・フォッグ |
シャイニング |
第8回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、ジョー・ダンテ監督の『ハウリング』(原題:The Howling)でした。この作品はゲイリー・ブランドナーによる1977年の同名小説が原作となっています。
ストーリーは、連続殺人鬼のターゲットとなったテレビのニュースキャスター、カレン・ホワイト(ディー・ウォレス)を描いています。カレンと夫のビル(クリストファー・ストーン)は人里離れた山の隠れ家「コロニー」を訪れますが、すぐに住人たちが見かけとは違うことに気づきます。
カレンは自分が人狼のコミュニティの中にいるのではないかと疑い始め、奇妙な現象とコロニーの正体の調査を始めます。
この作品は、狼男というジャンルをカバーしたことや特殊効果が評価され、カルト的な人気を誇っています。
第9回(1981)
受賞&ノミネート作品 |
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狼男アメリカン |
ゾンゲリア |
ゴースト・ストーリー |
ハロウィンII/ブギーマン |
ウルフェン |
第9回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、ジョン・ランディス監督のホラー・コメディ映画『狼男アメリカン』(原題:An American Werewolf in London)でした。ホラー、ユーモア、特殊効果の要素を組み合わせた映画で、特に狼男の変身シーンなど、斬新な効果を用いたことで知られています。
バックパッカーとしてイギリスの原野を旅する2人のアメリカ人旅行者、デビッド・ケスラー(デビッド・ノートン)とジャック・グッドマン(グリフィン・ダン)は、忠告を無視して道を踏み外し、謎の生物に襲われてしまいます。
病院で回復したデイヴィッドでしたが、悪夢を見るようになり狼男へと変身してしまいます。亡き友人ジャックの亡霊の助けを借りながら、デイヴィッドは自分の新しい境遇と折り合いをつけようとするホラー・コメディです。
『狼男アメリカン』は狼男というジャンルの中でもユニークな作品で、カルト的な名作となり、その後のホラー映画や特撮映画に影響を与えました。
ノミネート作品の『ウルフェン』もまた、人狼ではありませんが狼の怪物を描いた作品となってます。
第10回(1982)
受賞&ノミネート作品 |
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ポルターガイスト |
クリープショー |
デストラップ・死の罠 |
怪人スワンプ・シング/影のヒーロー |
遊星からの物体X |
第10回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、トビー・フーパーが監督し、スティーヴン・スピルバーグが共同脚本・プロデュースを務めた『ポルターガイスト』(原題:Poltergeist)でした。
この作品は、オカルトホラーの古典ともいわれ、カリフォルニアに住むフリーリング一家が、悪霊たちによる一連の恐怖の出来事に巻き込まれる物語となっています。
物が勝手に動く、奇妙な音が聞こえるなど無害な出来事から始まり、やがて恐ろしい展開へとエスカレートしていきます。一家の末っ子、キャロル・アンがテレビを通じて霊たちとコミュニケーションを取り、「彼らが来た」と言うシーンは特に有名です。
第11回(1983)
受賞&ノミネート作品 |
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デッドゾーン |
クリスティーン |
クジョー |
ザ・キープ |
トワイライトゾーン/超次元の体験 |
第11回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、スティーヴン・キングの同名小説を原作とし、デヴィッド・クローネンバーグが監督した『デッドゾーン』(原題:The Dead Zone)でした。
学校教師ジョニー・スミス(クリストファー・ウォーケン)は、交通事故による昏睡状態から目覚めた後、超能力を身につけており、誰かに触れると、その人の過去、現在、未来が見えるようになります。
そして、知り合いの政治家グレッグがアメリカ大統領になり、核戦争を始めて世界的な大惨事につながる未来を予見してしまい、普通の生活を送りたい反面、未来の惨事を防ぐため思い切った行動に出るかというジレンマに悩むスリラーです。
『デッドゾーン』だけでなく、今年度は『クリスティーン』、『クジョー』とスティーブン・キングの小説が原作となった作品がノミネートされています。まさに80年代は、ホラーの帝王、スティーブン・キングの最盛期だったんですね。
第12回(1984)
受賞&ノミネート作品 |
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グレムリン |
クリーチャー |
ドリームスケープ |
炎の少女チャーリー |
エルム街の悪夢 |
第12回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、ジョー・ダンテ監督、スティーブン・スピルバーグ製作の『グレムリン』(原題:Gremlins)でした。この作品は、ホラー要素にユーモアとファンタジーを融合させ、可愛らしいキャラクターのギズモが大人気となり大ヒットしました。
ビリー(ザック・ギャリガン)は父親からのクリスマスプレゼントとして不思議で愛らしい”モグワイ”という生き物を受け取ります。ギズモと名づけたモグワイには、「明るい光に照らさない、水に濡らさない、真夜中以降は餌を与えない」という3つの重要なルールがありました。
しかし、ビリーはうっかりこのルールを破ってしまい、ギズモは”グレムリン”といういたずら好きで暴れん坊の怪物を生み出してしまい、町を巻き込んだ大騒動に発展してしまうという物語です。
『グレムリン』は、ぬいぐるみに命を吹き込んだ特殊効果で注目されました。キュートなギズモとカオスなグレムリンの描写は、この映画をポップカルチャーの定番とし、続編、グッズ、不朽のファン層を生み出し、現在でも関連グッズが大人気です。
第13回(1985)
受賞&ノミネート作品 |
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フライトナイト |
スペースバンパイア |
エルム街の悪夢2/フレディの復讐 |
ZOMBIO(ゾンバイオ)/死霊のしたたり |
バタリアン |
第13回サターン賞最優秀ホラーF映画賞を受賞したのは、トム・ホランド監督のホラーコメディ映画『フライトナイト』(原題:Fright Night)でした。この作品は、オカルトホラーとヴァンパイアというジャンルを融合させカルト的な人気を得ました。
物語は、ホラー映画が大好きな青年チャーリーが新しい隣人のジェリーがヴァンパイアであることに気づくところから始まります。チャーリーは、かつて映画でヴァンパイアハンターを演じたことのある落ちぶれた俳優、ピーター・ヴィンセントのもとへ向かい、二人はヴァンパイアを倒す計画をたてるというものです。
この作品は、伝統的なヴァンパイアの伝承に敬意を表しつつ、現代的な新しいひねりを加え、俳優陣の演技力も評価され、続編とリメイクが作られるほどに成功をおさめました。
第14回(1986)
受賞&ノミネート作品 |
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ザ・フライ |
フロム・ビヨンド |
リトルショップ・オブ・ホラーズ |
ポルターガイスト2 |
サイコ3/怨霊の囁き |
第14回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、デヴィッド・クローネンバーグ監督のSFホラー映画『ザ・フライ』(原題:The Fly)でした。
この作品は、テレポーテーション装置を発明した科学者セス・ブランドルが、自分自身を装置にかけたところ失敗し、ハエと融合してしまうという物語です。
特筆すべきは、人間の姿から徐々にハエ男に変貌するセスの外見がとても恐ろしく、またその特殊メイキングの面白さです。さらに、この映画が面白いのは、セス自身がその顛末を悲観するというよりは自分の科学の成功と意外な結果を面白がっているように見える点です。
第15回(1987)
受賞&ノミネート作品 |
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ロストボーイ |
死霊のはらわた II |
ヘル・レイザー |
ニア・ダーク/月夜の出来事 |
エルム街の悪夢3/惨劇の館 |
パンプキンヘッド |
第15回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、ジョエル・シューマカー監督のホラーコメディ『ロストボーイ』(原題:The Lost Boys)でした。
この作品は、ティーンドラマとホラー、そしてコメディ要素を融合させ、さらに独自のヴァンパイア解釈を組み込んだことで知られています。
カリフォルニア州の架空の町サンタカーラに引っ越してきたマイケル(ジェイソン・パトリック)とサム(コリー・ハイム)。しかし、その町にはカリスマ的ギャングであるデイビッド(キーファー・サザーランド)を筆頭にした吸血鬼たちがいたのです。
マイケルは彼等と関わるようになり次第に吸血鬼へと変貌していきますが、それをサムが友人たちの力を借りて救おうとする物語です。
『ロストボーイ』は、80年代独特のセンスや、時代を捉えたサウンドトラックで注目され、ヴァンパイアジャンルへの革新的なアプローチなどもあり、後の映画やポップカルチャーに影響を与えたとされています。
第16回(1988)
受賞&ノミネート作品 |
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ビートルジュース |
チャイルド・プレイ |
戦慄の絆 |
ハロウィン4 ブギーマン復活 |
ヘルレイザー2 |
エルム街の悪夢4/ザ・ドリームマスター最後の反撃 |
ワックス・ワーク |
第16回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、ティム・バートン監督のファンタジーホラーコメディ映画『ビートルジュース』(原題:Beetlejuice)でした。
この作品は、想像力豊かで独特なコンセプト、ユーモア、そして主役のビートルジュース(マイケル・キートン)のビジュアルスタイルで大ヒットしました。USJの常設ショーアトラクション「ユニバーサル・モンスター・ライブ・ロックンロール・ショー」でも有名ですよね。
不慮の事故で亡くなった夫婦アダムとバーバラは自分の家に住む幽霊となってしまい、新しくディーツ家が引っ越してくると、怖がらせて追い出そうとします。しかし、優しい人間だった夫婦はうまく怖がらせることが出来ず、失敗してしまいます。
そこで、ビートルジュースといういたずら好きで悪賢いゴーストに頼ることになりますが、彼の方法はカオスで予測不可能。大騒ぎになるというホラーコメディです。
『ビートルジュース』は、死後の世界や住宅の概念を面白く描き、ティム・バートン監督のユーモアと、奇抜な役を見事に演じたマイケル・キートンの演技力も絶賛され、カルト的な人気となりました。
第17回(1989/1990)
受賞&ノミネート作品 |
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アラクノフォビア |
死霊のしたたり2 |
ダークマン |
エクソシスト3 |
ザ・フライ2/二世誕生 |
ガーディアン/森は泣いている |
ミディアン |
ペット・セメタリー |
サンタ・サングレ/聖なる血 |
第17回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、フランク・マーシャル監督のブラックコメディなホラー映画『アラクノフォビア』(原題:Arachnophobia)でした。
ベネズエラで新たに発見された毒グモがアメリカの町に運ばれてきて、地元の種と交配し、非常に有毒で攻撃的なハイブリッドを生み出してしまうというお話。
地元の人々が謎の変死を遂げていく中、クモが苦手なロス・ジェニングス博士(ジェフ・ダニエルズ)は、著名なクモ学者アサートン博士と協力して調査をすることに。彼らは毒グモの存在を突き止め、蔓延を防ぐため戦いに挑むというもの。
映画『アラクノフォビア』は、毒グモの脅威という不気味なホラー要素に加え、サスペンス、そしてダークコメディも融合させました。面白いプロット、戦慄と笑いを絶妙に描き評価されています。
まとめ
いかがだったでしょうか?サターン賞が創設された第1回目から1980年代のホラー映画ノミネート&受賞作品をご紹介しました。
80年代に入ると、『ハロウィン』、『チャイルドプレイ』、『エルム街の悪夢』など、現在でもホラー映画の定番といえる定番シリーズがたくさんノミネートされていますよね。でも、受賞は意外な作品だったりしてとても興味深いと思いました。
私はこの中でもとくに1988年受賞『ビートルジュース』が大好きです!子供の頃に観て、ホラー映画が好きになったきっかけのひとつでもあります。マイケル・キートンの演技は大人になってから改めて凄いな!と思ったのと、死後の世界に登場する人々の個性豊かなビジュアルはいつ見てもとっても面白いです。
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- 1990年代の【最優秀SF映画賞】受賞結果
- 2000年代の【最優秀SF映画賞】受賞結果
- 2010年代の【最優秀SF映画賞】受賞結果
- 2020年代の【最優秀SF映画賞】受賞結果(執筆中)
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