サターン・最優秀ホラー映画賞【1970年代の全ノミネート&受賞歴リスト】

こんにちは、Aoringoです。
この記事では、アメリカで毎年発表されているファンタジー、ホラー、およびSFの映画やテレビ番組に焦点を当てたアメリカの映画アワード、【サターン賞】のうち優秀だったホラー作品に贈られる【最優秀ホラー映画賞】の1972年から1979年までの受賞結果をまとめています。
サターン賞とは?
サターン賞(Saturn Awards)は、ファンタジー、ホラー、およびSFの映画やテレビ番組に焦点を当てたアメリカの映画アワード。1973年に設立され、会員の投票によって受賞が決定。会員には、スティーブン・スピルバーグ、ジェームズ・キャメロンをはじめ、名だたる監督やテレビ人が名を連ねています。

第1回(1972)

受賞&ノミネート作品 |
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吸血鬼ブラキュラ |
記念すべき第1回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、ウィリアム・クレインが監督したホラー映画『吸血鬼ブラキュラ』(原題:Blacula)でした。
この作品は、ブラックスプロイテーションというジャンルの初期作品の一つで、ホラー要素と社会批評を組み合わせ、ヴァンパイアというモンスタージャンルに黒人の主人公を登場させた先駆的な作品として、当時注目されました。
ブラックスプロイテーション(Blaxploitation) とは、1970年代前半にアメリカで生まれた映画のジャンル。黒人の監督に、キャスト、音楽担当も黒人で、サウンド・トラックにR&B、ファンクやソウルミュージックを使用するなどしているがB級作品が多く、メジャー作品として評価されたのは『吸血鬼ブラキュラ』と『スウィートバックス』くらいといわれている。
ストーリーは、18世紀にアフリカの奴隷貿易廃止の支援を求めてトランシルバニアに渡ったアフリカの王子マムワルデ(演:ウィリアム・マーシャル)が、ドラキュラ伯爵に呪いをかけられ吸血鬼ブラキュラとなってしまいます。
彼は棺に封印されたまま何世紀も眠り、ついに現代(1970年初頭)にアンティーク・コレクターに買い取られ解放されることに。そして、血の渇きを癒すための旅に出て、やがて出会ったティナという女性と恋に落ちる物語です。
ホラー映画『吸血鬼ブラキュラ』は、ホラージャンルへの独特なアプローチでカルト的な古典となっています。

第2回(1973)

受賞&ノミネート作品 |
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エクソシスト |
アーノルド |
地獄のサブウェイ |
赤い影 |
ヘルハウス |
シュロック |
吸血鬼ブラキュラの復活 |
悪魔のシスター |
異界への扉 |
デビルズ・トラップ/密室ホテル女子学生の恐怖 |
蝋人形館の恐怖 |
シェークスピア連続殺人!!血と復讐の舞台 |
墓場にて/魔界への招待・そこは地獄の始発駅 |
第2回サターン賞最優秀ホラー映画賞には、なんと13作品もノミネートされました。その中で受賞した作品は、ウィリアム・ピーター・ブラッティの同名小説を基に、ウィリアム・フリードキンが監督した『エクソシスト』(原題:The Exorcist)でした。
この作品は、映画史上最も象徴的で恐ろしいホラー映画として広く知られています。
物語は、悪魔に憑りつかれたリーガン・マクニール(リンダ・ブレア)という少女が次第に暴力的になっていき、母親がダミアン・カラス神父(ジェイソン・ミラー)に悪魔祓いを依頼するというもの。
しかし、カラス神父は自らの信仰に悩んでおり、経験豊富なエクソシスト、メリン神父(マックス・フォン・シドー)と共に、リーガンに憑依した邪悪な存在との痛ましい戦いに挑みます。
ホラー映画『エクソシスト』は、生々しい暴力シーンや冒涜的な表現など、激しく不穏な内容で当時賛否両論を巻き起こしたそうです。

第3回(1974/1975)

受賞&ノミネート作品 |
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ヤング・フランケンシュタイン |
暗闇にベルが鳴る |
燃える昆虫軍団 |
ファントム・オブ・パラダイス |
ロッキー・ホラー・ショー |
MR.バンピラ/眠れる棺の美女 |
第3回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、メル・ブルックス監督のホラーコメディ映画『ヤング・フランケンシュタイン』(原題:Young Frankenstein)でした。この作品は、1930年代の古典的なホラー”フランケンシュタイン”をユーモラスに描いたパロディです。
悪名高きヴィクター・フランケンシュタイン博士の孫フレデリック・フランケンシュタイン博士(ジーン・ワイルダー)は、一族の狂った科学的遺産から距離を置いていたにもかかわらず、ヴィクターの秘密の研究室を発見し、最終的には死者を生き返らせることで彼の跡を継ぐことを決意します。
多彩な登場人物たちが登場し、様々な喜劇的な不運を乗り越えながら共にクリーチャーに命を吹き込もうとします。
その他、ノミネート作品には『ファントム・オブ・パラダイス』、『ロッキー・ホラー・ショー』とミュージカル作品が並んでいるのも印象的な年度です。

第4回(1976)

受賞&ノミネート作品 |
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家 |
キャリー |
悪魔の沼 |
巨大生物の島 |
魔界神父 |
愛のメモリー |
オーメン |
第4回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、ダン・カーティス監督の『家』(原題:Burnt Offerings)でした。この作品は、ロバート・マラスコによる1973年の同名小説を原作としています。
物語は、ロルフ一家が、夏の休暇のために田舎にある古くて大きな屋敷を借りるところから始まります。一家は、持ち主であるアラダイス夫人の老母の世話をすることを条件に、驚くほど安い家賃でこの屋敷を借りることができました。
しかし、暮らすうちに不穏な出来事が起こり始め、一家は次第に精神が不安定になっていき、この屋敷が自分たちのエネルギー、健康、生命力を吸い取っているのではないかと疑うようになっていくというというものです。
『家』は、じわじわ高まる緊張感、心理的ホラーを描き、ハウスホラー作品の古典として知られています。
また、その他にも『オーメン』や『キャリー』などホラー映画の名作として名高い作品や、トビー・フーパーが『悪魔のいけにえ』の後に監督した『悪魔の沼』もノミネートされています。

第5回(1977)

受賞&ノミネート作品 |
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白い家の少女 |
ドッグ |
巨大クモ軍団の襲撃 |
センチネル |
第5回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、ニコラス・ジェスネール監督の『白い家の少女』(原題:The Little Girl Who Lives Down the Lane)でした。この作品では、ジョディ・フォスターが13歳の主人公を演じています。
物語は、大人のいない家で地元との交流を避けながら一人暮らしをするリンの姿を描いています。地元の警察官フランクは、リンの生活環境と不在の父親を不審に思い、彼女の生活を調査し始めます。
映画が展開するにつれ、観客はリンの秘密めいた存在の真相と、部外者に邪魔されない生活を守ろうとする彼女の決意を知ることになります。
『白い家の少女』は、サスペンスで不穏な雰囲気と、主演ジョディ・フォスターの卓越した演技で話題となりました。

第6回(1978)

受賞&ノミネート作品 |
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ウィッカーマン |
ゾンビ |
ハロウィン |
マジック |
恐怖の魔力/メドゥーサ・タッチ |
ピラニア |
第6回サターン賞最優秀ホラーF映画賞を受賞したのは、ロビン・ハーディ監督の『ウィッカーマン』(原題:The Wicker Man)でした。この作品は、ホラー、ミステリー、民間伝承の要素を組み合わせた不気味な作品として、後にニコラス・ケイジ主演でリメイク(2007年)もされています。
ストーリーは、敬虔な宗教家であるニール・ハウイー巡査部長(エドワード・ウッドワード)が、少女の失踪事件を捜査するため、スコットランドの人里離れた孤島サマライル島を訪れるというもの。到着したハウイは、サマライル卿(クリストファー・リー)が率いる異教的で風変わりな宗教を実践するコミュニティに遭遇します。
調査をするにつれ、彼は島の住民たちの間で奇妙でカルト的な行動に気づき、行方不明の少女が儀式の一部に使われるのではないかと疑い始めます。
『ウィッカーマン』は、異教徒の信仰と伝統を不気味に描いており、特に衝撃的なクライマックスは忘れがたい結末として、ホラージャンルに永続的な影響を今も残しています。

第7回(1979)

受賞&ノミネート作品 |
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ドラキュラ |
悪魔の棲む家 |
ドラキュラ都へ行く |
MAFU(マフ)・悪魔の檻 |
ファンタズム |
第7回サターン賞最優秀ホラー映画賞を受賞したのは、ブラム・ストーカーの古典ホラー「吸血鬼物語」を、ジョン・バダムが監督し映画化した『ドラキュラ』(原題:Dracula)でした。
主演のフランク・ランジェラがドラキュラ伯爵を演じ、悪名高い吸血鬼がイギリスにやってきて、療養所の院長の娘ルーシー・スワード(ケイト・ネリガン)にロマンチックな執着を抱くまでの物語を描いています。
ドラキュラの魅惑的でカリスマ的なキャラクターと、ドラキュラ伝説をより官能的に描いたこの作品は、従来のドラキュラのイメージとは一線を画すものでした。
まとめ
いかがだったでしょうか?サターン賞が創設された第1回目から1970年代のホラー映画ノミネート&受賞作品をご紹介しました。
70年代は、『ドラキュラ』や『フランケンシュタイン』などの古典的なホラーと、『ハロウィン』やジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』などにモダンホラーの入り混じった興味深い作品群でした。
まさに、ホラー映画の転換期だったといえるかもしれません。
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