わたしたちがやってくる…!「 アス-Us-(2019)」の感想とレビュー

2022年5月20日

上映日:2019年09月06日 製作国:アメリカ

こんにちは!aoringo(@horror_apt)です。ジョーダン・ピール監督の最新作「アス」、amazon primeで配信スタートしたのでさっそく見ました!

ここがポイント

自分の家族とまったく同じ姿の家族が目の前に、無言で現れて襲ってくる恐怖たるや、置きどころのない気持ち悪さ、異様さはゲット・アウトも凌ぐものがあったと感じます。アメリカの抱える社会問題を風刺として取り入れていると言われてる部分にも着目!

この映画を観た感想

一言「めちゃめちゃ怖かった」です。

じわじわと押し寄せる得体のしれない恐怖、どうなってるのかわからない謎が絶妙に襲いかかってくるので、ほんとうに気味が悪くて怖かった!

ジョーダン・ピール監督の前作『ゲット・アウト』(2017年)をプロデュースしたジェイソン・ブラムは、本作でもプロデュースを依頼されていましたが、低予算制作会社であるブラムハウスが必要な予算を捻出できなかったため、今回はユニバーサル・ピクチャーズが製作し、ジェイソン・ブラムを社外プロデューサーとして単発で採用したのだそうです。なるほど、ジェイソン・ブラムが参加してるのにブラムハウス製作ではなかった理由はそういうわけだったのですね。

ブラムハウス・プロダクションズとは

アメリカの映画/ドラマプロデューサーのジェイソン・ブラムによって設立された制作プロダクション。主にホラー映画の制作で知られており、少ない予算で映画を制作し、監督に創造的な自由を与える独自性で近年ヒット作を多く輩出していることで注目されている。

オリジナルホラー映画としては史上最高の興行収入

全米オープニング興行収入(週末)は7100万ドルで、オリジナルホラー映画としては史上最高を記録。オリジナル実写映画としては『アバター』(2009)の7700万ドルに次ぐ第2位となりました。かなり期待されていたことが伺えますね!

ドッペルゲンガーの気持ち悪さ

自分の家族とまったく同じ姿の家族が目の前に、無言で現れて襲ってくる恐怖たるや、置きどころのない気持ち悪さ、異様さはゲット・アウトも凌ぐものがあったと感じます。何が起こっているのかわからないのはホラー映画では当たり前なんですが、それの正体が出現しているにも関わらず何が起こっているのか後半まで分からない気持ち悪さ。

ふだん鏡で見慣れているはずの自分の姿。
けれど実は鏡に写っている姿は反転しているから本当の自分とは少し違うんですよね。ここに写っているのは本当に”わたし”なんだろうか?この記憶は本当に正しいのだろうか?生まれた場所や小さい頃のすべての記憶がもし作られたものだとしたら…?わたしが”わたし”たる根拠は崩壊してしまいます。

そんな、「自分のアイデンティティ」という深層心理にグイグイ踏み込んでくるの…

今回も「ゲット・アウト」に続き、メインキャストは黒人でありホラー映画としてはめずらしですよね。また、同じく社会的メッセージがこんもりと練り込まれています。現代のアメリカにおける格差問題、黒人差別などなどを皮肉るような演出がちりばめらています。

1回目は純粋に恐怖を楽しみ、ネットにある良質な解説を読んだあとでぜひ2回目を見てほしい作品です。

あのあとどうなったのかも気になるなあ…

アメリカの階級闘争メタファー

赤い服を着た者たちが手を繋ぎ合う姿は「ハンズ・アクロス・アメリカ」を再現しています。

「ハンズ・アクロス・アメリカ」とは、1986年5月25日に15分間にわたりアメリカ合衆国本土で人々が手をつないで人間の鎖をつくったチャリティー・イベントです。目的は、国内のホームレスと飢えを救済するために5,000万ドルから1億ドルの寄付金を集めることでした。700以上のスポンサーが協力に加わり、数百万の人々が手をつなぎながら「ウィ・アー・ザ・ワールド」、「アメリカ・ザ・ビューティフル」、「ハンズ・アクロス・アメリカ」を合唱したとのことです。

本作は明らかにアメリカの格差社会をテーマにしているといえます。詳しくは後述のネタバレで。

Aoringo

「ハンズ・アクロス・アメリカ」の15分は、アデレードが鏡のアトラクションで迷う時間と一致しています。

監督がキャストたちに見せたもの

ジョーダン・ピール監督は、キャストたちに 11 本のホラー映画を見てもらい、撮影時に「共通言語」を持てるようにしたそうです。その映画が以下です。

新旧、ジャンル問わずどれも興味深い!見たことない作品もあるのでわたしも観てみよう(^^)/

「アス」のトリビア

「ジェイソン」の名前の由来はもちろん…

息子ジェイソンの名前の由来はもちろん「13日の金曜日」からきています。マスクをつけてるのもうなずけますね(^o^)

遊園地はシーンはサンタクルズビーチのボードウォーク

アデレードが子供の頃に迷い込んだ遊園地の撮影地は、カルフォルニア州にあるサンタクルズビーチのボードウォーク。

1910年代に作られたオリジナルのゲームや乗り物が多いので、それほど手を加える必要がなかったそうです。また、ボードウォークの下には地下道があるそうですが、そのほとんどは倉庫や緊急時の避難所として使われており、映画で登場した鏡の回廊はないそうです。乗り物には人形が乗せられて撮影をし、その後CG処理したみたいです。全然気づかんかった。気づいたらあかんのか(^o^)笑

ちなみにアデレードの母親(アンナ・ディオプ)が "あそこのメリーゴーランドで映画の撮影をしているのよ "と言う場面がありますが、その映画は1987年「ロスト・ボーイズ」のことみたいです。

「ゲット・アウト」の文字が刻まれている

アデレードが迷い込む鏡の回廊の入り口の側面には、ジョーダン・ピール監督の前作タイトル「ゲットアウト(2017)」の文字が刻まれているのが確認できます。

"1111"の数字の意味は?

映画の中で何度も象徴的に登場する"1111"の数字が意味するものは、聖書の一節(エレミヤ書11章11節)のことだそうで、そこにはこう書かれています。

「主はこう言われる、見よ、わたしは彼らに、彼らが逃れることのできない災いをもたらす。彼らがわたしに叫んでも、わたしは彼らに耳を傾けない」

ジャック・ニコルソンの孫がスクリーンデビュー

ダニーを演じたデューク・ニコルソンは「シャイニング」で有名なジャック・ニコルソンの孫にあたり、本作でスクリーンデビューを果たしました。けれど、ジョーダン・ピール監督はそのことを知らずに、デュークに対し「シャイニング」のバーテンダーのロイドのように演じてほしいと演技指導していたそうです(^^)/

Aoringo

知ったときどんなリアクションだったのか気になりますね笑

「シャイニング」のシーンを取り入れている

別荘に向かうウィルソン家の俯瞰ショットと、双子のシンクロした話し方や物腰は、『シャイニング』(1980年)を意識しているそうです。

使えないオフィーリア

ウィルソン一家はタイラー家に逃げ込みます。そこに設置されている役に立たないバーチャルアシスタント「オフィーリア」名前の由来は、皮肉にもギリシャ語の "ophéleia "、意味は「助け」だそうです。

乾いたフルーツループの秘密

フルーツループスはケロッグ社の有名なシリアル。
ウィルソン一家がタイラー家にいる間、ジェイソン(ウィルソン家の息子)は乾いたフルーツループスを食べています。これは、ジョーダン・ピール監督の前作『ゲット・アウト』の登場人物がシリアルと牛乳を別々に食べているシーンからの参照だそうです。

『ゲット・アウト』ではその行為が白いものと白でないものを一緒に混ぜない、という隠喩だと言われていました。また、「フルーツ ループス」というのは俗語で「狂人」という意味もあるそうです。

テレビの近くに映っているVHSテープ

冒頭のテレビの近くに映っているVHSテープの1つが『2つの頭脳を持つ男』(1983年)です。これが意味するところは、この映画のテーマである二元性と、一心同体というコンセプトに基づいているのだそう。

Aoringo

細かいところに仕込みまくってますね〜

他に並べられていたタイトルは「チャド」(1984)、「グーニーズ」(1985)、「ライトスタッフ」(1983)が確認できます。「チャド」は地底生物が登場し、「グーニーズ」は主に地下トンネルを舞台にした作品。そして「ライトスタッフ」は地上と軌道上(宇宙)が主な舞台となっている作品です。

ボードゲーム「Guess Who?(誰だと思う?)」

ウィルソン家のおもちゃ箱には、「ゲス・フー」というボードゲームがあります。ルールは、相手の選んだカードと同じ面を当てるというものです。

エンドクレジットに記された監督とは?

エンドクレジットでは、2人のアメリカ人監督に感謝の意を表し名前が記されていましたポール・トーマス・アンダーソンスティーブン・スピルバーグです。両者ともホラーの世界と縁があり、ポール・トーマス・アンダーソンは映画監督、脚本家、映画プロデューサーであり、世界三大映画祭の全てで監督賞を受賞しています。扱うテーマは家族の機能不全、社会からの疎外や孤独、擬似的な父子関係といったシリアスなものが多いとされてます。

スティーブン・スピルバーグはいわずとしれた映画監督ですがホラーでいうと名作「ポルターガイスト」を手掛けています。

※ネタバレあり

「アス」の概要

Infomation

原題:Us
製作国:アメリカ
製作年:2019年
監督:ジョーダン・ピール
脚本:ジョーダン・ピール
音楽:ジョセフ・ビシャラ

製作会社:ユニバーサル・ピクチャーズ

Cast

  • ルピタ・ニョンゴ(アデレード・ウィルソン / レッド)
  • ウィンストン・デューク(ガブリエル・“ゲイブ”・ウィルソン / アブラハム)
  • シャハディ・ライト・ジョセフ(ゾーラ・ウィルソン / アンブラ)
  • エヴァン・アレックス(ジェイソン・ウィルソン / プルート)
  • エリザベス・モス(キティ・タイラー / ダリア)
  • ティム・ハイデッカー(ジョシュ・タイラー / テックス)
  • ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世(ラッセル・トーマス / ウェイランド)
  • アナ・ジョップ(レイン・トーマス / アーサ)
  • カリ・シェルドン(ベッカ・タイラー / イオ)
  • ノエル・シェルドン(リンジー・タイラー / ニックス)
  • トニー - デューク・ニコルソン(ダニー)
  • ネイサン・ハリントン(グレン / ジャック)

最後に一言

社会風刺を盛り込んだ新しいホラー映画、そして細かい部分まで飽きさせないトリビアの作り込みなど、たっぷり余韻に浸れる最高の怖い映画でした!ジャンルは「スリラー」なんだと思うけど、当ブロブのカテゴリーには合わず、クローンという科学的な側面があるので「SFホラー」としました。

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  • この記事を書いた人

アオリンゴ

会社員|大阪在住|映画鑑賞と読書が趣味で、とくに大好きなホラー映画を掘り下げたい「にわか研究員」です。まだまだ観たことのない作品も多く更新はノンビリです。

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