大量自殺カルト、映画よりも実話の方がエグい『サクラメント 死の楽園』(2013)
『サクラメント 死の楽園』について
映画『サクラメント 死の楽園』は、1978年にアメリカのカルト組織「人民寺院」が引き起こした集団自殺事件を基にした映画で、プロデュースは『ホステル』のイーライ・ロスが手がけ、監督を『サプライズ』、『V/H/S シンドローム』のタイ・ウェスト。カルト組織に潜入した取材班が撮影する様子を追いかけたP.O.Vタイプの映像となっています。
2012年に9月にイーライ・ロスの参加が決定し、ジョージア州サバンナ郊外で撮影されました。
映画の基となった事件「人民寺院」の集団自殺事件とは…?
人民寺院とは、1955年にアメリカで創設された社会主義キリスト教系新宗教(カルト)のことです。創設者および教祖はジェームス・ウォーレン・”ジム”・ジョーンズ。
教団の正式名称は、ピープルズ・テンプル・オヴ・ザ・ディサイプルス・オヴ・クライスト(英語: Peoples Temple of the Disciples of Christ)といいました。
ジム・ジョーンズと「人民寺院」に関しては下記記事で詳しくまとめていますので、興味のある方は併せてどうぞ。
何の映画を観ようか…とふとウォッチリストを漁っていたところ、ずいぶん前から登録していながら未鑑賞のままだった本作を再生。そういえば、カルト組織系のホラー映画を調べてた時に登録したんだっけなー。
というわけで、2013年に製作され、日本では2015年に公開されたこちら『サクラメント 死の楽園』を鑑賞しました。
本作は、実際に1978年に起こったカルト組織「人民寺院」が引き起こした集団自殺事件を描いているため、多くの人がその顛末や詳細を既に知っていると思われるものの、映画としては非常に面白い作品でした。
「人民寺院」とは、ジム・ジョーンズが創設した新興宗教(カルト組織)ですが、元々は共産主義を目指し、まだまだ人種差別の色濃かったアメリカにおいて人種間融和を目指す活動団体だったそうです。
しかし、政治力を持ち組織拡大するにつれ、もともと自殺願望の強かったジョーンズの思想は、死をもって世界の非人間性に抗議するとして「革命的自決」を唱えるようになっていったそうです。
実際、作中にもあったように、この集団自決は「自殺」などではなく、この非人道的な世界の状況に対抗するために革命的自殺という行動だというジョーンズの言葉を最後に、信者たちは毒入りジュースを飲み干しています。
映画自体は実話とは少々異なり、実際にジョーンズタウン(聖地)を訪れたのは、ジャーナリストのほかにメインとなった下院議員のライアンという人がいたそうですし、被害者130人程度にとどまらず、実際は900人を超える驚くべき人数がたった数時間で亡くなりました。
この人数は、2001年にアメリカ同時多発テロが発生するまでは最多の犠牲者を出した事件として記録されていたそうです。
映画よりも実話がすごいってどういうこと?って思いますが、予算的なことだったのかしら?
POVなので、不自然にカメラ回してるシーンに突っ込みたくなる気持ちも分かりますが、実際にジョーンズタウンに調査に入ったジャーナリストが現地で殺害された後に見つかった映像から色々判明したというリアル・ファウンド・フッテージが基になってるんで、この演出はリアルに徹した結果だといえます。
それから、日本のオ○ム真理教が人民寺院と酷似しているという主張もあるようなのでそういう観点で見るのも興味深いかもです。
『サクラメント 死の楽園』の概要
- 製作国:アメリカ
- 製作年:2013
- 監督:タイ・ウェスト
- 脚本:タイ・ウェスト
- 製作:イーライ・ロス、他
- 製作会社:ワールドビュー・エンターテインメント、アーケード・ピクチャーズ
- 配給:東京テアトル
ある日、連絡が途絶えていた妹から奇妙な手紙を受け取ったパトリック。彼は過激な取材スタイルのVICE社のサムとともに、とある共同体へと潜入取材を敢行する。「エデン教区」と名付けられたその場所は皆幸せそうに暮らしており、妹も無事だった。彼女は、ここで豊かな生活ができるのは“ファーザー”のおかげだと話す。しかし、平和に見える<地上の楽園>だったが、不可解な空気が見え隠れし始める。彼らは取材を装い、妹を救い出そうとするのだが…。(出典:filmarks)
出演俳優
- ジョー・スワンバーグ
- AJ・ボーウェン
- エイミー・サイメッツ
- ケイト・リン・シャイル
- ジーン・ジョーンズ
カルト組織がテーマの映画
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