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日本にカニバリズムはあったのか《犯罪史》

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日本にカニバリズムはあったのか《犯罪史》

こんにちは!aoringo(@horror_apt)です。
2022年末から絶賛配信中のTVシリーズ『ガンニバル』の記事をかくにあたって、ホラー映画でもかかせないカニバリズム、とくに日本国内における犯罪事件についてまとめています。

カニバリズムとは

カニバリズムとは、人間が人間の肉を食べる行動、あるいは習慣のことをいい、食人、食人俗、人肉嗜食ともよばれます。また、生物学では種内捕食(いわゆる「共食い」)のこともそう呼ぶことがあるそうです。

広義では人肉食そのもののことを指しますが、狭義においては土地の風習や民族の文化などによって人肉食がそのコミュニティにおいて慣習とされていることとされています。

ホラー映画でいえば「グリーンインフェルノ」みたいな世界が狭義の意味に該当しますね。

研究員Aoringo
研究員Aoringo

日本におけるカニバリズム(人肉食)

日本の歴史の中でも、カニバリズム(人肉食)の記録はいくつかあります。

1833年に起こった天保の飢饉の際に多くの人が飢餓によって命を落とす中、生き延びるため人肉を食べる人が少なくなかったといいます。

また、江戸時代には人間の内臓を薬草として煎じていた人物がいたことや、沖縄地方の一部地域でかつて葬儀の際に死人の肉を親類縁者が食べていた風習があって、その名残で今も葬儀で豚肉を食べることがあるとされています。

他にも、戦時中の食糧不足や貧困によりやむをえず人肉食にいたるケースなどが調べる限り散見されました。

同じ人肉食とはいえ、好き好んで犯罪に至る場合とでは少しニュアンスが違ってきますよね。

研究員Aoringo
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日本(日本人)のカニバリズム事件

では、日本の犯罪史上でカニバリズムに該当するものといえばどんな事件が存在したか、まとめてみたいと思います。

パリ人肉事件

1981年、パリの大学院に留学中だった佐川一政氏(当時32歳)が同じく留学生だったオランダ人の女性を殺害し、遺体を切り取って食べた事件です。

当時の遺体写真はマスコミにも公表されており、私も専門誌で見たことがありますが、性器や乳房部分など女性独特の部位が大きく切り取られていてショッキングでした…。

フランスでの犯行のため日本で裁くことはできず、佐川氏は2023年現在日本で生活しておりメディアにも出演するなどしています。

宮崎勤

暴力を振るわれる少女
Photo by. Alexa from Pixabay

1988~1989年にかけて、宮崎は4人の少女を殺害し、わいせつ行為を行うなどし逮捕されました。逮捕後、宮崎の自宅から大量の暴力的・性的・ロリコン趣味のアニメが押収されたことから当時はアニメオタクに対する風当たりが厳しくなるなどもしました。

食人については宮崎自身の証言によるものであり、裁判では「異常性を強調するための虚偽証言である」とされ、事実かどうかは不明であるのが実際のところです。

肝取り勝太郎事件

水車小屋

1905~1907年に渡って長野県で起こった事件です。水車小屋を営む馬場勝太郎が次々と女性を狙い、殺害した女性の腹部を切り裂き肝(胆嚢)を抜き取って売るという猟奇的な犯罪でした。逮捕され死刑判決を受け、1908年に執行されています。

17歳若妻バラバラ殺人

1959年に愛知県岡崎市で食堂を経営していた加藤信嘉(当時42歳)が、17歳の女性を乱暴目当てで殺害し、その遺体を保管しながら少しずつ切り刻んで食していた事件です。

この女性以外にも加藤の周りでは数名の女性が行方不明になっていますが、事件は一部未解決のまま、加藤は無期懲役刑を受けました。

群馬連れ子殺人・人肉食事件

家族
Photo by.Mohamed Hassan from Pixabay

群馬連れ子殺人・人肉食事件とは、第二次世界大戦終戦間際の1945年(昭和20年)に、群馬県北甘楽郡尾沢村(後の南牧村)で起きた悲しい殺人事件です。

現地に住む女性が困窮による飢えをしのぐため、再婚相手の連れ子を殺害し、その人肉を家族に食べさせたとされるものです。

当時、貧困を極める家庭は珍しくなく、この家族も子ども3人を奉公に出していましたが、それ以外に障害を持つ子ども(仮名T)が一人いました。家族みんながろくに食べることもできないなかで、Tは胃腸を痛めて痩せ衰え、気力もなくなっていました。

そこで女性は、Tの命が長くないことを察知し、それなら他の家族の腹の足しにと、義理の息子を殺害し、頭部と四肢を切り落とし、内臓を出して解体し、肉の部分を鍋で煮込んで家族に食べさせました。家族はヤギの肉だと聞かされていたとのことです。

この事件が明るみに出た後も、子どもを食べるなんてと非難もある一方で、生きるためだから仕方ないといった同情も少なくなかったそうです。

内容は怖いですが時代と国家に翻弄された家族の悲しい事件です。

研究員Aoringo
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ひかりごけ事件

南極
Photo by.Unsplash/NOAA

1944年(昭和19年)5月に北海道目梨郡羅臼町で発覚した事件です。日本陸軍の徴用船が難破し、真冬の知床岬で危機状態に置かれた船長が、船員の遺体を食べて生き延びたもの。

日本の歴史上、食人は幾度と発生してきましたが、この事件は「食人によって刑を科せられた初めての事件」とされているそうです。日本の刑法には食人に関する規定が無いため、釧路地裁にて死体損壊事件として処理されています。

事件後の証言によると、鉞(まさかり)で頭部を割り、脳みそを食べた時が『もっとも精力がついたような気がした』と述べていたそうです。

カニバリズムが題材の邦画・ドラマ

カニバリズム(人肉食)をテーマにした邦画です。

フリーキッチン(2013)

フリーキッチン

福満しげゆきのマンガ「娘味」が原作。過去の出来事が原因で、殺人と食人という行為が日常になってしまった親子の様子が淡々と描かれています。

アナザヘヴン(2000)

アナザヘヴン

死体の脳でシチューが作られるという事件が発生。同じような事件が続き、刑事の早瀬マナブは、犯人が人間ではないという可能性に気付くが…。江口洋介主演のSFホラー。

野火(2014)

野火

戦争という極限状態における人間を題材にした大岡昇平による同名小説が原作。第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島を舞台としています。塚本晋也氏が監督・主演を務め、リリーフランキーなども出演。

ひかりごけ(1992)

『ひかりごけ』(1992)考察&レビュー:実際に日本で起きた極限状態での人肉食事件とは

太平洋戦争中、軍需物資を積んだ船が座礁。4人の船員は真冬の知床半島の洞窟へと漂着。寒さと飢えという極限状態から、やがて船長が生還。人々は彼を「奇蹟の神兵」とするも、数か月後に人骨が発見され…。実話「ひかりごけ事件」の人肉食事件を描いた小説を社会派監督・熊井啓が映画化した映画。

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カニバ パリ人肉事件38年目の真実(2017)

カニバ パリ人肉事件38年目の真実

日仏共同製作の「パリ人肉事件」に関するドキュメンタリー。日本では不起訴となった佐川氏自身が出演しています。

《ドラマ》ガンニバル(2022)

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二宮正明の人気コミックが原作。人を喰っていると噂のある供花村を舞台に赴任した元刑事・大悟が捜査を進めるが怪しい村人たちや謎の風習によって混乱に陥っていく物語。

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まとめ

いかがでしたか?日本におけるカニバリズム、犯罪史についてまとめてみました。

ドラマ「ガンニバル」のような特定の村についての人肉に関する情報はネットでは見つけることができませんでしたが、掘り下げていくと色々と日本にもカニバリズムに関する歴史がまだまだ見つかりそうな気もしました。

次は世界編も記事にしたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。

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ABOUT ME
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にわかホラー研究員
関西在住。ホラー映画を見たりホラーに関することで興味が出たものをマイペースに調べたりしてブログ記事にしています。いろんな映画を観るよりは好きな作品やシリーズを掘り下げるのが好きです。もっぱら在宅シネマ―で動画配信サービス&BS/CS録画で楽しんでます。
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