Netflixドラマ『ミッドナイト・クラブ』-Midnight club-(2022)感想&考察レビュー:若者のための終末ホスピスが舞台の不思議なスリラー
こんにちは!aoringo(@horror_apt)です。
2022年絶賛配信中のNetflixオリジナルドラマシリーズ『ミッドナイト・クラブ』の紹介です(^^)/
「シャイニング」後日譚である「ドクター・スリープ」を監督したマイク・フラナガン手掛けるネトフリドラマ。いろいろな病気で治療が困難な若者たちが人生の最期の時間を過ごすホスピスを舞台にしており、ホラー要素もありながら、物語全体は”一体どういうこと?”みたいなミステリアスな雰囲気をまとってます。”生と死”をテーマにしてて、彼らがシリアスかつ前向きに死と向き合ったり生きようともがく姿が描かれています。そんなに怖くないのでホラーが苦手な人でも見やすいドラマだと思います(^^)/
Netflixドラマ「ミッドナイト・クラブ」とは
製作について
2021年9月に配信されたNetflixの限定ドラマシリーズ『真夜中のミサ』で注目を浴びたマイク・フラナガン監督が手掛ける、次なるNetflixホラー・シリーズ「ミッドナイト・クラブ」(原題:The Midnight Club)です。原作はベストセラー作家クリストファー・パイクの同小説。若者のための終末医療ホスピス「ブライトクリフ」を舞台に、10代の男女たちによって開かれる〈ミッドナイトクラブ〉で起こる不思議で奇妙な出来事が描かれています。
出演俳優
メイン出演俳優
その他キャスト
- ヘザー・ランゲンカンプ(医師スタントン役)
- ザック・ギルフォード(看護師マーク役)
- サマンサ・スローヤン(シャスタ役)
- マット・ビーデル(ティム役)
- エミリヤ・バラナック(キャサリン役)
- ダニエル・ディーマー(レット役) ほか
全エピソード&レビュー
1.人生の最終章-“The Final Chapter”
成績優秀なイロンカは癌を発症し、大学進学の道を絶たれてしまう。病気が進行していく中、彼女が生きる希望を見出したのは、余命わずかな若者たちを受け入れる謎めいたホスピスだった。
謎めいたホスピス…この施設には秘密があって主人公はじわじわ恐怖に導かれていく…みたいな展開がなんとなく予想される設定。しかも真夜中に秘密の会合を開く若者たち…これは、イロンカがこの施設から脱出できなくてこの若者たちに襲われるかんじ?と思ったらすごい気さくに「こっちおいでよ」って感じで、そうなのか!って思いました笑 第一話だけに恐怖を煽るナツキによる怖い話は、なかなかびっくりさせられた(^^)/ そしてアーニャの存在…すごい嫌な感じの子だけどこの先キーパーソンになる予感がふつふつ。
2.もう一人のダナ-“The Two Danas”
重い雰囲気の集団療法で、周囲に厳しい態度をとるアーニャ。イロンカは、森の中で不思議な人物と出会う。指を切って出血したスペンサーは、慌てて診察室に向かう。
集団療法のシーンでこのドラマの時代設定がプレイステーション発売8ヶ月前であり、メガドライブがアメリカでは「ジェネシス」って名前ってことをここで知りました(^^)/けっこう古いね。ちなみに私が初めて買ってもらったゲーム機がメガドライブでした(どうでもいい。)
確かにゲームオタクなら、話題の新機種が発売する前に自分は死んでしまうかもしれないって大きなことかも。私も大好きな映画のシリーズ最新作を目前にして寿命が尽きるかもしれないとしたら、人間って意外とそんなことが悔しかったりするのかもしれない…。
そして、彼らが話す怖い話は、その回想シーンが彼ら自身なので、これは彼らの実話なのか作り話なのか、観てるこっちはよくわからない感じです。アーニャの話も足をなくす女の子が主人公で、実際にアーニャは車椅子に乗ってる…うーん。
3.悪魔の塊-“The Wicked Heart”
ホスピスの面会日。家族との一時を過ごす者もいれば、一人で複雑な思いを抱える者も。イロンカは奇妙な手がかりに導かれるかのように、驚くべき秘密に足を踏み入れていく。
ケヴィンのお母さんが彼に「お父さんの汚名をあなたが…」って言いかけるシーン、この後のケヴィンの”怖い話”とどう関連性があるのか気になる。お父さんの汚名とは…。
4.危険なキス-“Gimme a Kiss”
クラブの仲間たちは秘密の部屋を調べるが、サンドラはある物を見て取り乱してしまう。スペンサーは、インターホンから聞こえた謎の声に呼び止められる。アーニャは、不気味な黒い影を見る。
謎が深まる〈砂時計〉のマーク…。古い施設の秘密の場所で行われていたと思われる怪しい儀式…まあお決まりの流れでありながらも何なのか真相が気になるところ。そして今回の”怖い話”はサンドラのターン。白黒ムービーのような探偵の話。この中でもゲイ役を実際にゲイということになってるスペンスが担当してたり、やっぱり現実とリンクする部分があったりしてまたもや混乱(^^)/
5.またね-“See You Later”
ブライトクリフの謎に深く踏み込んでいくイロンカ。そんな中、彼女は思いがけないものを贈られる。深夜、クラブの仲間たちは集まり、アミッシュが医師から宣告された”命日”を祝う。
今回はイロンカが図書館で見つけたアテナという少女の日記により、ブライトクリフがホスピスになる前、ここを拠点としてたカルト集団〈パラゴン〉の詳細が明らかになりましたね(^^)/アテナが16歳でこのコニュニティから逃げ出した時の話が記されていました。それによると、1920年代以降、大ブームになったカルトの流れの中で当時パラゴンもメディアに取り上げられるような問題を起こした団体であることが明らかに。
〈パラゴン〉は、1931年にレジーナ・バラードが創始。彼女はギリシャ神話の癒やしの女神に由来し後に”アケソ”と名乗るようになります。夫と息子を病気で亡くしていた彼女は、医学ではなく精神世界の健康理念を掲げました。しかし、5人姉妹の女神たちに心を奪われたアケソは、自然療法ではなく完全に別の方向へ向かいます。全てを癒す女神〈パナケイア〉、衛生の女神〈ヒュギエイア〉、治療の女神〈イアソ〉、美の女神〈アグライア〉、癒やしの女神〈アケソ〉。信仰があれば健康や治療以上のことが実現できると考え始めます。
砂時計のマークは、時間の象徴として使われるように。なぜなら、何度もひっくり返せるから。アケソは、他に4人の女性を選び女神をして、より深く古代の神崇拝を追求していくことに。祈りや捧げ物ではもはや不十分になり、ついには一線を超え、悪魔の儀式のように生き物の命を奪って捧げるように発展していきます。アテナはひどく動揺しました。なぜなら、アケソは彼女の母親でもあったからです。父と息子を失い、母はついに正気を失ったのだと娘アテナは思いました。そこで彼女はコミュニティの子どもたちを連れて逃亡。2キロ先の警察に飛び込みました。警察が現場に行くと、地下で毒殺されている多くの人々と一人の生存者(アケソ)を発見します…
話は変わり、今回の”怖い話”はアミッシュのターン。ゲーム好きな彼だけに、時間を飛び越えるSFチックなお話でした。
6.魔女-“Witch”
アーニャの容態が急変し、余談を許さない状況に。アーニャを苦しみから救うため、イロンカと仲間たちは過去のミッドナイト・クラブが記録した儀式を行うべく急いで動き出すのだった。
再び、ケヴィンによる殺人鬼〈ダスティ〉の話。殺人は同じ手口で40年に渡り行われていることから、捜査では容疑者は高齢であると断定。でも殺してるのは10代のダスティ。一体どういうこと…?一方、急変したアーニャの部屋の前でドクター・スタントンがイロンカに話した「重力には逆らえない、いかに穏やかに着地するか…」って話はしんみりしました。死を恐れず、受け入れていくことはきっと容易ではないはずですから…。
7.アーニャ-“Anya”
アーニャが目覚めると、現実は何もかもが変わり果てていた。仲間との早すぎる別れを悲しむイロンカは自分自身を責めるが、すべてを一変させるような衝撃的な会話を聞いてしまう。
ホスピスが舞台なので誰かが一人ずつ亡くなっていくのは判っていたはずなのに、観てる私も悲しかった今回。しかもあんなに勝ち気だったアーニャが。あの強がりは、孤独や寂しさ、不安からだったんだなぁと理解。そして、アーニャの回想シーンで彼女はあの儀式により一人健康になったことを話してました。でも、彼女にとっては病気であることが彼女自身を定義づけていたから、健康になって逆に戸惑ってしまったとも。そして、他のミッドナイトクラブの仲間は死んでしまったとも。その後、それぞれの怖い話で登場したキャラクターたちが登場してアーニャを混乱させます。けれど、スピーカーからは彼らの声が聞こえてきます。それは、現実で最期の時間を過ごすアーニャの病室の前で彼らが語りかける声。
もうすぐ旅立ちゆく彼女に、仲間たちは彼女の素晴らしい未来を語り、そこに自分たちもいる物語を語りかけていました(T_T)もはやホラー要素はまったくないです…(まったくでもないかも)
8.最後の旅路-“Road to Nowhere”
思わぬ事実を知ったイロンカは、答えを求めて行動を開始。シャスタは興味深い提案を持ちかける。クラブの仲間たちはいつもどおり集まろうとするが、図書館の扉には鍵がかけられていた。
まずはスペンサー、なんて強い子なんだ。自分のことをを強く拒絶する母に”愛してる”といえるなんて…神の信仰なんて彼には必要なくてちゃんと自分を信じて死と向き合えてる、まさに強い子。そして、アミッシュとナツキ2人だけで始まる”怖い話”、今回はナツキのターン。ヒッチャー的なヒッチハイクの怖い話きたー!と思ってヒヤヒヤ。乗せたらあかん!そいつら危険や!予想通り、不穏な展開が待ってる…このへんは制作側の確信感的な思いを感じました(^^)/でも、普通のヒッチハイクホラーとは、ちょっと違う展開が待っています。彼女の物語が伝えたかったこととは…自ら死を選ぶか、生きようとするのか…どちらもある意味でとてもつらい。その瀬戸際でもがく苦しみの話。
ナツキはうつ病で自殺未遂を経験していたこことが判明。しかし、アミッシュは彼女に「短い間でも君がここにいてくれて僕は嬉しい」と伝えるのでした。
9.存在否定-“The Eternal Enemy”
ケヴィンは、不気味なものを見続けていたと告白。期待を裏切られたイロンカは、シャスタのもとへと向かう。だが、シャスタはイロンカに希望を与え、ホスピスに戻るよう説得する。
ブライトクリフでは第1話から幽霊めいたものが見えてましたが、今回でやっとその話に言及。でも、そういう怪奇現象と遭遇していたのはイロンカとケヴィンだけだったことが判明しました。さらに、シェスタがかつてブライトクリフで末期の病を克服したジュリア・ジェインであることも判明。第9話にして様々な謎が一気に解明されていきます(^^)/そして、”怖い話”はスペンサーのターン。時間と恐怖の物語として語ったのは、ターミネーターみたいなサイボーグが登場する、まさにSFストーリー。
10.真夜中-“Midnight”
混乱の夜が明け、スタントン先生はイロンカを厳しく非難し、ジュリア・ジェインの真実を語る。サンドラは仲間たちにに別れを告げる。そしてついに、ケヴィンの物語が完結する。
ついに最終話(^^)/若き日のシェスタ(ジュリア・ジェイン)が、〈パラゴン〉創始者のレジーナ・バラードを尋ねるシーンで始まりました。レジーナはあの事件のあと正気でないと診断され精神病院に拘束されていたことが判明。そして、シェスタという女性は、過去に逮捕歴が何度もあるお騒がせな人物だとも判明。やばいやつやんか…(T_T)でも、死に直面してどんな治療もかなわないと知ったら最後は信仰に頼る気持ちもわからなくもない気がします。とはいえ、あの儀式参加者の女性たちはいったい何を飲まされたんだか…
そして、ケヴィンの物語、殺人鬼〈ダスティ〉は先祖代々悪魔に取り憑かれて殺しを続けてきたことが判明し、やっと完結を迎えました。なるほど〜。そして、第3話で気になったケヴィン本人の過去(お父さんの汚名)との関連性は結局わからないまんま。んで、最後は彼らみんなで物語を紡ぎ、その中ではアーニャの姿もあった(^^)/結局、何が物語で現実なのかは、その人次第、夢であってもそれが現実だと思えば現実かもしれない…そんなお話。
誰かが亡くなったあと、その人が居たことがまるで夢だったみたいな感覚が確かにある。そして、見たり聞いたり、それに説明をつけるのも脳の働きによるもので、自分の体験と他人の体験は全く感じ方が違ったりもする。非科学的な儀式の結果が、誰かにとっては正常に働くこともあるかもしれない。霊だって神様だって、居ると信じる人にとっては真実にほかならないのだろう。
考察&トリビア
本当にあったミッドナイト・クラブ
原作小説をかいたクリストファー・パイクは、1993年に若いがん患者から、彼女の病棟で「ミッドナイト・クラブ」を始めた子供たちについての物語を書いてほしいと頼まれたといいます。パイクはNetflixのプレスリリースで、「彼らは真夜中に集まり、私の本について議論するのです」と語っています。パイクは、その若い患者に敬意を表して、イロンカ・パウルックというポーランド語の名前をつけました。ドラマシリーズでは、イロンカはポーランド人ではなくアフリカ系アメリカ人のイマン・ベンソンが演じています。
また、エピソードにはクリストファー・パイクの著書タイトルがつけられているものがいくつかあります。「Road to Nowhere」など。
エルム街の悪夢
アーニャの親友、レットの寝室は『エルム街の悪夢』(1984年)のジョニー・デップの寝室をオマージュしているそうです。
ブライトクリフの建物
あの建物はNetflixが建築した撮影用の建造物で、ドラマシリーズ「ロック&キー」で使われているのと同じです。
まとめ
いかがでしたか?Netflixドラマ「ミッドナイト・クラブ」の感想や内容のまとめでした(^^)/マイク・フラナガン監督の作品を観るのは、映画「オキュラス 怨霊鏡」、「ドクター・スリープ」に次いで3作目となりました。他にもホラー作品を多く手掛けてる監督だけに、一筋縄ではいかない不思議な世界を堪能できました!
ホラー要素でいえばあんまり怖くないものの、死と向き合うある意味での怖さを丁寧に丁寧に描いてましたよね。そして出演俳優さんたちは若者多めでフレッシュでしたね、今後の活躍が期待です(^^)/
予告トレーラー
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