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《実在の犯罪者》奴隷拷問した自宅は幽霊屋敷に〈マダム・デルフィーン・ラローリー〉

アオリンゴ
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ある奴隷女性の証言
多かれ少なかれひどく切り刻まれ・・・首で吊られ、四肢は引き裂かれていた

Delphine LaLaurie(1787-1849)

大人気ドラマ「アメリカン・ホラー・ストーリー 魔女団」に登場した、奴隷拷問が趣味の恐ろしい女性、キャシー・ベイツ演じるマダム・ラローリー。実は、実在する人物をモデルにしています。

ドラマの中では恐ろしい拷問を繰り返す真正サディストのキャラクターでしたが、実際はどんな人物だったのでしょうか?

この記事では、そんなデルフィーン・ラローリーという人物について研究してみました。

デルフィーン・ラローリーとは?

マリー・デルフィーン・ラローリー(Marie Delphine LaLauri)は、マダム・ラロリーとして一般的に知られており、アメリカ合衆国・ニューオーリンズの社交界で、家庭内の奴隷を拷問して殺害した連続殺人犯です。

多くの黒人奴隷を虐待・拷問のうえ殺害し、その邸宅跡は現在幽霊屋敷としてツアーが組まれるほど知られています。

この記事では、マダム・ラロリーについて研究してみました。

デルフィーン・ラローリーの概要

スペイン植民地時代に生まれたラロリーは、ルイジアナで3度結婚し、2度未亡人となりました。

1834年4月10日、ロイヤル・ストリートの邸宅で火災が発生し、救助隊が駆けつけるまで、彼女はニューオリンズの社交界でその地位を維持していたのです。しかし、屋根裏部屋から、長期間にわたって残酷で暴力的な虐待を受けた形跡のある縛られた奴隷や、その形跡が発見されました。

出典:https://www.viator.com/

伝統的にラロリーのものとされてきた邸宅は、その歴史と建築上の重要性から、フレンチ・クオーターのランドマークとして知られています。しかし、彼女の家は地元の暴徒によって焼かれており、ロイヤルストリート1140番地にある「ラロリー邸」は、実際には彼女がニューオリンズを去った後に再建されたものです。

デルフィーン・ラローリーの生い立ち

マリー・デルフィーヌ・マッカーティ(旧姓)は、1787年3月19日、スペイン領ルイジアナ州のニューオーリンズで、5人の子供の一人として誕生しました。

デルフィーヌの両親はともに町のヨーロッパ系クレオールのコミュニティで著名な人物でした。 彼女の結婚相手の叔父であるエステバン・ロドリゲス・ミロは1785年から1791年にかけてスペイン領アメリカのルイジアナとフロリダ州の知事を務め、彼女の従兄弟であるオーギュスタン・ド・マカーティは1815年から1820年にニューオーリンズ市長を務めた経歴を持ちます。

奴隷への価値観

デルフィーヌは、1791年にハイチ革命が勃発したとき、わずか4歳でした。

ハイチ革命とは

1791年から1804年にかけて、西半球で起こったアフリカ人奴隷の反乱の中でも最も成功した革命。この革命によって、アフリカ人とアフリカ人を先祖に持つ人々がフランスの植民地統治から解放されただけでなく、奴隷状態からも解放された。

このことにより、アメリカ南部やカリブ海地域の奴隷所有者が、奴隷の抵抗や反乱を非常に恐れるようになりました。

デルフィーヌの叔父は1771年に奴隷によって殺害されていることなどもあり、これらの出来事から多くの奴隷所有者が反乱を恐れて彼らをより過酷に虐待した原因だったといわれています。

結婚

結婚
image:UnsplashZoriana Stakhniv

1度目の結婚

1800年6月11日、13歳のデルフィーヌは、スペイン王室の高官である男性と結婚しました。しかし、妊娠していたデルフィーヌとマドリードに向かう途中、夫はハバナで急死してしまいます。

長女(愛称「ボルキータ」)を出産したデルフィーヌは未亡人となってニューオリンズに戻ることになります。

2度目の結婚、そして死

その後、デルフィーヌは1808年に著名な銀行家、商人、弁護士、議員である男性と再婚し、4人の子どもをもうけます。しかし、1816年に夫は亡くなってしまいます。

3度目の結婚、邸宅を購入

1825年、デルフィーヌは3番目の夫で15歳年下の医者の男性と再婚します。

その後、1831年に彼女はロイヤルストリート1140番地に不動産を購入し、夫をほとんど介さずに自分の名義で管理するようになります。その屋敷には奴隷小屋も付随していました。

彼女はそこで3番目の夫と2人の娘と暮らします。

ラローリーはニューオーリンズの社交界において、毅然とした高貴な立ち振る舞いと美貌で周りの注目を集める中心的な地位を確立しました。

しかし、彼女には恐ろしい裏の顔があったのです。

奴隷の拷問と殺人

奴隷の拷問と殺人
Image by Hans from Pixabay

1831年から1834年にかけてのデルフィーヌ・ラロリーの奴隷の扱いについては、様々な証言があるようです。

ハリエット・マルティノー(英国の女性作家)は、1836年にニューオリンズを訪れた際に住民から聞いた話を再現していますが、それによるとラロリーの奴隷は「特異なほどやつれ、惨め」であったと主張しています。しかし、公の場ではラロリーは黒人に対して一般的に礼儀正しく、奴隷の健康に気を配っていたともみられています。

1830年から1834年にかけての葬儀台帳には、ロイヤル・ストリートの邸宅で12人の奴隷が死亡したことが記録されていますが、死因については言及されておらず、感染症が原因であった可能性も否定できないといいます。

マルティノーによると、8歳の奴隷の少女が、鞭を振るうラロリーからの罰を避けようとして、ロイヤル通りの邸宅の屋根から転落死するのを目撃した住人がおり、この事件をきっかけにラロリー家の調査が行われました。結果的に、違法な残酷行為として有罪となり、9人の奴隷を没収されることになっています。

この9人の奴隷たちは後に、親族を仲介してラロリー家が買い戻し、ロイヤル・ストリート邸に戻されてしまいます。

この頃、ラローリー家の屋根裏部屋からは夜通し絶叫のような声が微かに聞こえたとも言われています。

ラローリー邸で起こる怪奇現象

ラローリー邸で起こる怪奇現象
Image by Alexa from Pixabay

やがて、「ラローリー邸の周囲に、夜になると奴隷の幽霊が出る」との噂が広がり始めました。幽霊は腹から腸管をぶら下げて歩く者や、目や口が黒糸で綺麗に縫われた者などであったといいます。

また、マルティノーによると料理人を台所のコンロに鎖でつないでおき、娘たちがロイヤル・ストリート邸の奴隷たちに食事を与えようとすると殴ったという話を語っています。

その後、その料理人のいるキッチンを発端とした火災が発生。警察と消防隊が駆けつけて、鎖で繋がれている70歳の女性を発見します。彼女の証言によると、最上階の部屋に連れて行かれた奴隷は二度と戻って来なかったといいます。

火災に遭遇した市民たちが、全員が避難したかどうかを確認するために奴隷の宿舎に立ち入ろうとしますが、ラローリー夫妻から拒否されてしまいます。

しかし、彼らはドアの鍵を壊し中に侵入。
そこで見たものは、「7人の奴隷が、多かれ少なかれひどく切り刻まれ・・・首で吊られ、四肢は明らかに四肢から他肢へと伸ばされ引き裂かれていた」光景だったといいます。

このことで虐待された奴隷の発見が広く知られるようになると、地元市民の暴徒がラロリー邸を襲いました。暴徒が去る頃には敷地は大きな被害を受け、壁以外はほとんど残っていなかったといいます。

逃亡、そして最期

逃亡、そして最期
Image by Pierre Blaché from Pixabay

1834年の火災の後、ラロリーは娘たちとパリへ逃亡していました。しかし、その後の生活については、あまりよく知られていないといいます。

死の状況もまた不明ですが、パリのフランス公文書によれば、ラロリーは1849年12月7日、62歳で亡くなっているとのことです。

デルフィーン・ラローリーをモデルにした映画・ドラマ

アメリカン・ホラー・ストーリー魔女団

冒頭でもご紹介した「アメリカン・ホラー・ストーリー 魔女団」に、キャシー・ベイツ演じる同名のキャラクターが登場します。

ドラマの中でも、黒人奴隷を屋根裏部屋に監禁しており、陰惨に拷問するのが趣味という重度のサディストという役柄。

しかし、恋人をひどい拷問に合わせたことに怒った魔女によって家族を失い、ブードゥー教の呪いによって不死の体にされて埋められ、180年が経過。

その後別の魔女によって掘り起こされます。その後は魔女の学校アカデミーのメイドとして(不本意ながら)働いています。

アメリカン・ホラー・ストーリー魔女団について詳しく考察レビューしています。

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The LaLaurie Mansion: Chapter Six

2020年のニュースによると、『死霊館』の脚本家チャド・ヘイズとキャリー・ヘイズは、ラロリー邸を基にした映画に取り組んでいるとのことです。このプロジェクトは6本の映画から成り立つ予定とのことで、撮影は現地で行われる予定だそうです。

続報が気になりますね。

まとめ

今回は、アメリカに実在した恐ろしい奴隷拷問サディストの、デルフィーン・ラローリーという女性を紹介しました。

ラロリー邸は地元の暴徒によって破壊されてしまったものの、その後復興され今は有名な怪奇スポットとしてツアーも組まれるほどでうす。ドラマの中でも、ツアーの中に180年ぶりに復活した本人が紛れ込む、というくだりがありました。

アメリカン・ホラー・ストーリーは現在ディズニープラスで見放題となっています!まだ観ていない方はぜひアメリカン・ホラー・ストーリー魔女団で、デルフィーン・ラローリーを演じるキャシーベイツの怖さを堪能してみてくださいね!

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にわかホラー研究員
関西在住。ホラー映画を見たりホラーに関することで興味が出たものをマイペースに調べたりしてブログ記事にしています。いろんな映画を観るよりは好きな作品やシリーズを掘り下げるのが好きです。もっぱら在宅シネマ―で動画配信サービス&BS/CS録画で楽しんでます。
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