「グッド・ナース -The Good Nurse」(2022)考察&レビュー:被害者400人ともいわれる実際の事件
死の点滴はなぜ行われたのか

実際にアメリカで起きた看護師による大量殺人を題材にした小説を映画化。チャールズ・カレンは16年間で推定400人の死に関与しているとも言われています。主演の2人はともにアカデミー主演男優賞、女優賞受賞。静かでシリアスな作品ながらじわじわと迫る狂気に圧倒される演技は必見です。
Netflixムービー(^^)/このシリアスな雰囲気めちゃくちゃ好きでした。静かな狂気をエディが演じるとリアルでした。

「グッド・ナース」について

映画「グッド・ナース」はNetflixで制作されたアメリカの映画で、2022年10月に公開されました。
2003年に殺人容疑で逮捕されたチャールズ・エドモンド・カレンによる実際の事件を基にした、チャールズ・グレーバーの小説「The Good Nurse(原題)」を原作としています。
カレンは16年間の看護師経歴の間に、数十人を殺害したと告白したそうですが、実際には推定400人ほどになるのではないかと言われています。
監督はマッツ・ミケルセン主演「アナザー・ラウンド」のトビアス・リンホルム。主演はジェシカ・チャステイン、キラー役をエディ・レッドメインが演じています。ともにアカデミー主演男優賞、女優賞受賞者。実力派の2人による静かな狂気のサスペンスは必見(^^)/
命を脅かす心臓病を抱える、心優しいシングルマザーのエイミー(ジェシカ・チャスティン)は、看護師として、ICUのきわめて多忙かつ過酷な夜勤で肉体的にも精神的にも限界を迎えていました。ある日、そんな彼女の部署に、思いやりがあり、親身になってくれる同僚のチャーリー(エディ・レッドメイン)が配属されたことで、エイミーの生活に一筋の光が射します。
病院での長い夜を共に過ごすうちに、2人は固い絆で結ばれた親友同士になり、エイミーは久しぶりに自分と幼い娘たちの未来に心から希望を持てるようになっていきました。ところが、病院内で患者の不審死が相次いだことをきっかけに、チャーリーを第一容疑者とした捜査が開始。エイミーは、自らの命と子供たちの安全を危険にさらしながら、真実を突き止めることを迫られるのでした――。
アメリカのシリアルキラーはほんとに次から次へととんでもないのが出てきますね。日本でも看護師の立場を利用して殺人を犯していた事例はありましたが桁が違う。これには、訴訟大国であるアメリカゆえの事情が犯罪を助長させた側面は否めないっぽい。
患者が次々不審死しても病院は遺族から訴えられたら大変だからだんまり決め込むってことなんでしょう。
医療系の小説などでは、この手の犯罪はよくあり、とくに現役の医者であり作家である久坂部羊さんの作品なんかには長編、短編関わらずよくテーマにされている。映画を観るまでは末期の患者を楽にしてあげるための歪な善意の気持ちで安楽死をさせる「死の天使」的な物語なのかと思っていた。タイトルも「グッド」だもん。
でも、どうやらそうでもないらしい。
だけど、頭で分かっててもエディ・レッドメインが演じているからか、どうしても悪い人には見えない。エイミーだってそうだっただろう。まさか、あの人が…。実際のチャールズ・カレンの写真を見てもまさかと思う。優しそうな、おとなしそうな人物でしかない。
作品としては実話ベースであるから映画のように派手な起承転結があるわけではないけれど、静かに静かにめくれていくカレンの異常さがじっとりとまとわりつくような時間だったなあ。
アカデミー賞主演男優賞、女優賞受賞経験2人のダブル主演はそれだけで見応えあるってもんですね(^^)/
刑事を演じたNnamdi Asomugha(日本読みがわからん)、も個人的にめっちゃ良かったです!
チャールズ・カレンとは…

チャールズ・エドモンド・カレン(Charles Edmund Cullen、1960年2月22日生まれ)は、米国の連続殺人犯です。
看護師であったカレンは、2003年に逮捕されるまで、ニュージャージー州のいくつかの病院に勤務した16年間の経歴の中で、数十〜数百もの患者を殺害しました。専門家によると、カレンは最終的に400人の死に関与があったと推定されており、それが真実であれば記録史上最も大量に人を殺害した連続殺人犯ということになります。

エイミーのその後
シングルマザーのエイミーは、2022年現在もアメリカのフロリダで看護師として働きながら、2人の娘さんと暮らしているそうです。今回のドラマ化をきっかけに彼女たちの穏やかな生活に影響がないといいのですが。んで、彼女は看護師のほかに現在〈レイキマスター〉でもあるそうです。レイキとは日本語の〈霊気〉のこと。そしてReikiという言葉は海外でもスピリチュアル界隈では使われているそうです。知らなかった〜!
映画と全然関係ないんですが気になりすぎてざっと調べてみたところ、〈レイキ〉についてこのように説明されてました。
レイキとは、ストレス解消やリラクゼーション、癒しを目的とした日本の技術です。「手を置く」ことによって行われ、目に見えない「生命力エネルギー」が私たちの中を流れていて、それが私たちを生かしているという考えに基づいています。生命力エネルギーが低ければ病気になりやすく、ストレスも感じやすく、逆に高ければ幸せで健康でいられるということです。
このあと記事を読み進めると、かなりスピ度が高まる世界に誘われたので引用はこのへんにしておきます。ちなみにAoringoは霊気やハンドパワー的なものを信じているかどうかと聞かれると、信じているわけじゃないけど否定的ではないという考え方です(^^)/秋彦さん(小説・京極堂シリーズ)が、「除霊も憑き物落としも、効く人には効くのだ。」と言ってた。ただしそれには論理的で緻密な準備と方法が重要みたいなことも言ってた。間違えると逆効果になったりするらしい。
うまく説明できんけど、分かる気がする(^^)/
カレンの犯行動機とは?
最後まで、カレンがそのような凶行を繰り返してきた動機については明らかになりませんでした。結局、何のためだったのか、宙ぶらりんのまま物語は終わってしまうのですが、これがフィクション作品なら「おいおいおい!」ってなるかもしれないけど「事実」なので、この宙ぶらりんが〈チャールズ・カレン〉という人物の狂気をより際立たせ、この事件全体をいっそう謎めいたものにしているのだと感じました。
チャールズ・カレン本人は、逮捕されたあと「患者が人間らしさを奪われてまで生き永らえさせられるのを見るのが嫌だった」と、彼らを苦しみから解放させたというような主張をしていたこともあったそうですが、捜査の結果、被害者の中には快方に向かっていた人も少なくなく、結果的に「自分の人生はほとんどが霧の中で生きてきたようなもので、何人殺害をしたのか、なぜ彼らを選んだのかわからない」というような発言をするようになったそうです。
いかがでしたか。以上「グッド・ナース」の考察とレビューでした。
「グッド・ナース」概要
予告トレーラー
スタッフ
- 監督:トビアス・リンホルム
- 脚本:クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
- 原作:チャールズ・グレーバー/小説「The Good Nurse(原題)」
- 主題歌:ー
- 配給:Netflix
キャスト




- キム・ディケンズ ― リンダ・ガラン役 ほか
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